羽後亀田(1)
- 2015/05/28
- 00:00
金曜日に秋田で講演会があり、その夜は、秋田泊となった。
泊まったホテルは、秋田市内の健康ランドである。
健康ランドと言っても、お風呂は温泉がでている。
団体で泊まるには、夜の食事もついていることを考えると、安い。
前回の秋田のときも、同じホテルだった。
僕は2回目だったので、驚きはなかったのだが、初めての宿泊となった人には、健康ランドというのが、気に入らなかった人もいたようだ。
東北では年に2回、このような形で講演会をやって泊まりというケースが多いのだが、それぞれの県ごとに、いろいろな宿泊所にあたる。
岩手県では、普通の温泉場の旅館に、自炊部というのがあり、非常に安い料金で宿泊ができる。
自炊部というのは、名前のとおり、台所があって、長湯治の人が、自炊をしながら、長期間宿泊するというものだ。
大広間で、飲み会をして、そのまま雑魚寝状態であったが、なかなか面白かった。
その旅館には、いくつも風呂があり、内湯から露天まで、7つくらいのお風呂があった。
もちろん全部、温泉である。
露天風呂は、混浴ということを聞いていたが、長湯治のおばあさんとの混浴だろうと思っていた。
ところが、ちょうど露天風呂につかっていたときに、入って来たのは、若い女性二人だった。
10代かもしれない。
その露天風呂は、横を川が流れていて、その朝は、天気だったが、前夜は、結構雨が降り、川の水量が増していた。
川の流れが速かった。
そのせいでもないだろうが、若い女性が入って来たときに、急に湯煙が立ちこめたような気がした。
まるで狸にだまされているような感じがした。
彼女たちは、あっけらかんとしたものである。
世代が違うのだろうか。
東北に出張すると、一泊した後は、翌日は土曜日なので、短時間であるが、その地にふさわしいところに行くことにしている。
今回の秋田行きは、レンタカーも借りていないので、足は、鉄道かバスである。
前回の秋田のときは、僕は、たまたま右足の小指のつけねの骨を骨折していた。
そのときは、夜に温泉に入ることもできず、翌日は、傘を杖代わりにしていたので、どこにも寄らずに、空港に直行した。
今回は、秋田県の羽後亀田に行こうと思った。
その理由は、「砂の器」である。
「砂の器」は、松本清張の中でも、好きな本のひとつだ。
東京の蒲田駅の操車場で発見された被害者と犯人とおぼしき男が、蒲田駅の近くのバーで会っていることが分かる。
その中の会話の断片に、“かめだ”という言葉がでてくる。
しかも被害者の会話が東北弁であることが分かった。
刑事は、秋田県に「羽後亀田」という駅があることを見つける。
ベテラン刑事、僕が見た初めての「砂の器」では、丹波哲郎。
若手刑事は森田健作だ。
二人は、秋田県に出張する。
当時は東京から秋田までは、1泊がかりで行く。
新幹線もない時代だ。
結局、被害者の会話にでてくる“かめだ”は、この「羽後亀田」ではなかったのだが、二人の刑事は、亀田周辺に聞き込みをし、不審者らしい男がいるという情報をつかんだりする。
二人の刑事の出張は、無駄足に終わるのだが、刑事が足を棒にして、歩き回り、聞き込みを続ける。
なかなか成果がでない。
そういう無駄な、地道な仕事の積み重ねの結果、ようやく犯人に近づいていくという筋が好きだ。
そのような筋書きの小説は多い。
共感することも多い。
今回の秋田は、3回目の秋田入りであったが、今度は、「羽後亀田」と決めていた。
帰りの飛行機の便までは、それほど時間はないが、鉄道を使っていっても、時間は大丈夫だろう。
秋田駅から羽後亀田駅までは、在来線で、駅が八つ。時間は30分足らずだ。
(続く)
秋田駅。

秋田駅前のバス乗り場。

バス乗り場は、全体が木造だ。

新しい街らしいところ。

古いビルも残っている。

泊まったホテルは、秋田市内の健康ランドである。
健康ランドと言っても、お風呂は温泉がでている。
団体で泊まるには、夜の食事もついていることを考えると、安い。
前回の秋田のときも、同じホテルだった。
僕は2回目だったので、驚きはなかったのだが、初めての宿泊となった人には、健康ランドというのが、気に入らなかった人もいたようだ。
東北では年に2回、このような形で講演会をやって泊まりというケースが多いのだが、それぞれの県ごとに、いろいろな宿泊所にあたる。
岩手県では、普通の温泉場の旅館に、自炊部というのがあり、非常に安い料金で宿泊ができる。
自炊部というのは、名前のとおり、台所があって、長湯治の人が、自炊をしながら、長期間宿泊するというものだ。
大広間で、飲み会をして、そのまま雑魚寝状態であったが、なかなか面白かった。
その旅館には、いくつも風呂があり、内湯から露天まで、7つくらいのお風呂があった。
もちろん全部、温泉である。
露天風呂は、混浴ということを聞いていたが、長湯治のおばあさんとの混浴だろうと思っていた。
ところが、ちょうど露天風呂につかっていたときに、入って来たのは、若い女性二人だった。
10代かもしれない。
その露天風呂は、横を川が流れていて、その朝は、天気だったが、前夜は、結構雨が降り、川の水量が増していた。
川の流れが速かった。
そのせいでもないだろうが、若い女性が入って来たときに、急に湯煙が立ちこめたような気がした。
まるで狸にだまされているような感じがした。
彼女たちは、あっけらかんとしたものである。
世代が違うのだろうか。
東北に出張すると、一泊した後は、翌日は土曜日なので、短時間であるが、その地にふさわしいところに行くことにしている。
今回の秋田行きは、レンタカーも借りていないので、足は、鉄道かバスである。
前回の秋田のときは、僕は、たまたま右足の小指のつけねの骨を骨折していた。
そのときは、夜に温泉に入ることもできず、翌日は、傘を杖代わりにしていたので、どこにも寄らずに、空港に直行した。
今回は、秋田県の羽後亀田に行こうと思った。
その理由は、「砂の器」である。
「砂の器」は、松本清張の中でも、好きな本のひとつだ。
東京の蒲田駅の操車場で発見された被害者と犯人とおぼしき男が、蒲田駅の近くのバーで会っていることが分かる。
その中の会話の断片に、“かめだ”という言葉がでてくる。
しかも被害者の会話が東北弁であることが分かった。
刑事は、秋田県に「羽後亀田」という駅があることを見つける。
ベテラン刑事、僕が見た初めての「砂の器」では、丹波哲郎。
若手刑事は森田健作だ。
二人は、秋田県に出張する。
当時は東京から秋田までは、1泊がかりで行く。
新幹線もない時代だ。
結局、被害者の会話にでてくる“かめだ”は、この「羽後亀田」ではなかったのだが、二人の刑事は、亀田周辺に聞き込みをし、不審者らしい男がいるという情報をつかんだりする。
二人の刑事の出張は、無駄足に終わるのだが、刑事が足を棒にして、歩き回り、聞き込みを続ける。
なかなか成果がでない。
そういう無駄な、地道な仕事の積み重ねの結果、ようやく犯人に近づいていくという筋が好きだ。
そのような筋書きの小説は多い。
共感することも多い。
今回の秋田は、3回目の秋田入りであったが、今度は、「羽後亀田」と決めていた。
帰りの飛行機の便までは、それほど時間はないが、鉄道を使っていっても、時間は大丈夫だろう。
秋田駅から羽後亀田駅までは、在来線で、駅が八つ。時間は30分足らずだ。
(続く)
秋田駅。

秋田駅前のバス乗り場。

バス乗り場は、全体が木造だ。

新しい街らしいところ。

古いビルも残っている。
