胃カメラを飲む(1)
- 2015/06/14
- 00:00
今では毎年、胃カメラを使った検査をしている。
初めて胃カメラを使うまでは、毎年の検診では、確か40歳以上が対象だったと思うが、バリウムを飲んだ検査をやっていた。
バリウムを飲んで胃の内部を撮影する検査では、精度良く判定ができないということで、ある年から思い切って胃カメラに切り替えた。
バリウムの場合と違い、外部の医療機関に出向かないといけない。
初めて受診した医療機関は、大阪市内のビルの中にある、医療センターだった。
きれいなビルのなかの、設備の整った施設である。
受付を済ますと、更衣室に行き,受診用の服に着替える。
上着から、ネクタイ、ワイシャツ、ズボンを脱ぐわけだ。
薄い上っ張りのような患者用の服装である。
部屋は空調が効いていて、寒いということはない。
いよいよ初めての胃カメラだ。
簡易ベッドのようなところに横になる。
その前に、喉の感覚を麻痺させるために、ゼリー状の麻酔薬をゆっくりと飲み込む。
どろりとしている。
若手の医師と看護師さんが登場する。
初めてのことで緊張する。
先生は、機械的に始める。
口を閉じないように、口に器具をはめる。
太い管が喉から入っていく。
管の先には、カメラがついている。
僕の寝ているベッドの横の小さなモニターに胃カメラが撮影した画像が表示される。
だが、僕には、それを見る余裕がない。
のど元を管が通るあたりから、おえっと、むせび始める。
異常な違和感をのど元に感じる。
あんな太いものが通るわけがないのに、と思い始めると、ますます嗚咽が激しくなる。
それでも若い先生は、管を押し込む。
看護師さんが、体をなぜて、落ち着かせようとする。
それが唯一の救いだ。
ようやくカメラは胃の中に入ったようだ。
多少、のど元の違和感は、楽になったが、口元からは、だらしなく、よだれが流れ出る。
ときどき、吐いて戻しそうな波がくる。
苦しい時間は、10分くらいで終わったはずだが、随分長い時間に感じた。
最後の方になって、ベッドの横の画面を見ることができた。
それも、ぼやーと目にした程度である。
終わりましたよ、と先生が声をかけてくる。
ほっとして、こんなにおえおえっとなるものですか、と聞く。
はじめてですと、こんなものかもしれません。
気のない回答がくる。
これからは、鼻から管を通すこともできるようになりますので、そうなれば、楽になるかもしれませんね。
と言われる。
これは朗報である。
バリウムでの撮影に比べれば、直接からだの中を見ることができるので、正確さは全然違うだろう。
苦しくても、毎年胃カメラを飲んだほうがいいだろうと思った。

初めて胃カメラを使うまでは、毎年の検診では、確か40歳以上が対象だったと思うが、バリウムを飲んだ検査をやっていた。
バリウムを飲んで胃の内部を撮影する検査では、精度良く判定ができないということで、ある年から思い切って胃カメラに切り替えた。
バリウムの場合と違い、外部の医療機関に出向かないといけない。
初めて受診した医療機関は、大阪市内のビルの中にある、医療センターだった。
きれいなビルのなかの、設備の整った施設である。
受付を済ますと、更衣室に行き,受診用の服に着替える。
上着から、ネクタイ、ワイシャツ、ズボンを脱ぐわけだ。
薄い上っ張りのような患者用の服装である。
部屋は空調が効いていて、寒いということはない。
いよいよ初めての胃カメラだ。
簡易ベッドのようなところに横になる。
その前に、喉の感覚を麻痺させるために、ゼリー状の麻酔薬をゆっくりと飲み込む。
どろりとしている。
若手の医師と看護師さんが登場する。
初めてのことで緊張する。
先生は、機械的に始める。
口を閉じないように、口に器具をはめる。
太い管が喉から入っていく。
管の先には、カメラがついている。
僕の寝ているベッドの横の小さなモニターに胃カメラが撮影した画像が表示される。
だが、僕には、それを見る余裕がない。
のど元を管が通るあたりから、おえっと、むせび始める。
異常な違和感をのど元に感じる。
あんな太いものが通るわけがないのに、と思い始めると、ますます嗚咽が激しくなる。
それでも若い先生は、管を押し込む。
看護師さんが、体をなぜて、落ち着かせようとする。
それが唯一の救いだ。
ようやくカメラは胃の中に入ったようだ。
多少、のど元の違和感は、楽になったが、口元からは、だらしなく、よだれが流れ出る。
ときどき、吐いて戻しそうな波がくる。
苦しい時間は、10分くらいで終わったはずだが、随分長い時間に感じた。
最後の方になって、ベッドの横の画面を見ることができた。
それも、ぼやーと目にした程度である。
終わりましたよ、と先生が声をかけてくる。
ほっとして、こんなにおえおえっとなるものですか、と聞く。
はじめてですと、こんなものかもしれません。
気のない回答がくる。
これからは、鼻から管を通すこともできるようになりますので、そうなれば、楽になるかもしれませんね。
と言われる。
これは朗報である。
バリウムでの撮影に比べれば、直接からだの中を見ることができるので、正確さは全然違うだろう。
苦しくても、毎年胃カメラを飲んだほうがいいだろうと思った。
