先輩
- 2015/08/06
- 00:00
IT系の会社に勤めていたときのことだ。
外資系なので、英語が普通に仕事のなかで出てくる。
と言っても社員の英語力が全員素晴らしいというわけではない。
前職のものづくり製造業に勤めていたときは、お客様は海外の場合が多かったので、英語を読む、書くと言う点では、むしろ転職前のほうが使用頻度が高く、英語のレベルも圧倒的に高かった。
英語を仕事で書く、読むというのは技術的な文書を書くことであり、読むことなので、大げさではあるが、会社を代表して、会社の名前の下、やることになる。
特に英語で書いた仕事上の文章については、恐ろしくチェックが厳しかった。
英語で書いた文章を係長に持って行く。
係長が単に内容だけではなく、英語の表現までも詳しくチェックする。
まるで英語の試験の解答用紙の採点を受けているようだ。
係長のチェックが終わると、次は課長である。
課長のチェックはさらに厳しくなる。
さらに部長まで行くこともある。
公式な文書となると、それは必須である。
最後に部長がさらさらっと書類にサインをして、それで完了となる。
毎回、このようなチェックを受けていると、どうせ提出しても修正されるだろうと思ってしまう。
適当に書くのである。
当時は今のようにインターネットもなければ、メールもないので、時間の進み方が違うのだろう。
圧倒的に今から比べると、時計がゆっくり進んでいる。
それだけ、チェックする時間も取れたのである。
外資系の会社に変わると、スピードが優先される。
決定権がどんどん下のものに移ってくる。
良くいえば、権限移譲である。
上の者がいちいち全部をチェックしている時間がないのだ。
品質はある程度下がるが、それを処理する速さでカバーしていく。
間違えれば、さっさとやりなおせばいい、ということになる。
会社を移ったころは、英語を使う頻度は外資系にかかわらず、圧倒的に少なくなった。
英語を使う時と言えば、英語のマニュアルを読むときくらいである。
たまに同僚や先輩が書いている英語を読むと、それはものづくり製造業で、僕が見てきた英語と比べると、とんでもなく差があるものだった。
ひどいできである。
でもビジネスはまわっていく。
英語については、僕自身はたいしたことはないが、学生の頃に短期間でも海外にいたこともあって、ほんの短い期間だったが、慣れというものがあった。
当時としては、貴重な経験をしていた。
仕事での英語、特に打合せの場面では、人と人とのコミュニケーションなので、思えば通じるものである。
上司と同席して、外国人と話しをする場面が多かった。
そのような場面のひとつは、以前このブログにも書いた。
あるとき、僕の上司と一緒に特別な話をするために、さらに上の人に会うことになった。
その人は、役員クラスの人で、日本人ではない。
シンガポールから来ていた。
風貌は日本人と言えなくもないが、流暢な英語を話す。
当たり前だ。
彼の奥さんは日本人であることを聞いていた。
日本での勤務経験も短くはない。
もちろん、打合せは英語ですることになる。
案件の状況を説明し、どうしてもこのビジネスを取らないといけないことを説明する。
その背景を説明していくなかで、“先輩”という言葉を使う場面が来た。
僕の上司は、一瞬考えて、“先輩?”と日本語で小声で僕に言った。
先輩って英語でなんだっけと目で僕に言っている。
真ん前に座っているシンガポールから来た役員にも聞こえている。
たった3人の打合せだ。
すると、僕が考えながら答えようとする間もなく、役員は言った。
“Senior”
なにも英語で話しをせんでも全部わかっているやないか。

外資系なので、英語が普通に仕事のなかで出てくる。
と言っても社員の英語力が全員素晴らしいというわけではない。
前職のものづくり製造業に勤めていたときは、お客様は海外の場合が多かったので、英語を読む、書くと言う点では、むしろ転職前のほうが使用頻度が高く、英語のレベルも圧倒的に高かった。
英語を仕事で書く、読むというのは技術的な文書を書くことであり、読むことなので、大げさではあるが、会社を代表して、会社の名前の下、やることになる。
特に英語で書いた仕事上の文章については、恐ろしくチェックが厳しかった。
英語で書いた文章を係長に持って行く。
係長が単に内容だけではなく、英語の表現までも詳しくチェックする。
まるで英語の試験の解答用紙の採点を受けているようだ。
係長のチェックが終わると、次は課長である。
課長のチェックはさらに厳しくなる。
さらに部長まで行くこともある。
公式な文書となると、それは必須である。
最後に部長がさらさらっと書類にサインをして、それで完了となる。
毎回、このようなチェックを受けていると、どうせ提出しても修正されるだろうと思ってしまう。
適当に書くのである。
当時は今のようにインターネットもなければ、メールもないので、時間の進み方が違うのだろう。
圧倒的に今から比べると、時計がゆっくり進んでいる。
それだけ、チェックする時間も取れたのである。
外資系の会社に変わると、スピードが優先される。
決定権がどんどん下のものに移ってくる。
良くいえば、権限移譲である。
上の者がいちいち全部をチェックしている時間がないのだ。
品質はある程度下がるが、それを処理する速さでカバーしていく。
間違えれば、さっさとやりなおせばいい、ということになる。
会社を移ったころは、英語を使う頻度は外資系にかかわらず、圧倒的に少なくなった。
英語を使う時と言えば、英語のマニュアルを読むときくらいである。
たまに同僚や先輩が書いている英語を読むと、それはものづくり製造業で、僕が見てきた英語と比べると、とんでもなく差があるものだった。
ひどいできである。
でもビジネスはまわっていく。
英語については、僕自身はたいしたことはないが、学生の頃に短期間でも海外にいたこともあって、ほんの短い期間だったが、慣れというものがあった。
当時としては、貴重な経験をしていた。
仕事での英語、特に打合せの場面では、人と人とのコミュニケーションなので、思えば通じるものである。
上司と同席して、外国人と話しをする場面が多かった。
そのような場面のひとつは、以前このブログにも書いた。
あるとき、僕の上司と一緒に特別な話をするために、さらに上の人に会うことになった。
その人は、役員クラスの人で、日本人ではない。
シンガポールから来ていた。
風貌は日本人と言えなくもないが、流暢な英語を話す。
当たり前だ。
彼の奥さんは日本人であることを聞いていた。
日本での勤務経験も短くはない。
もちろん、打合せは英語ですることになる。
案件の状況を説明し、どうしてもこのビジネスを取らないといけないことを説明する。
その背景を説明していくなかで、“先輩”という言葉を使う場面が来た。
僕の上司は、一瞬考えて、“先輩?”と日本語で小声で僕に言った。
先輩って英語でなんだっけと目で僕に言っている。
真ん前に座っているシンガポールから来た役員にも聞こえている。
たった3人の打合せだ。
すると、僕が考えながら答えようとする間もなく、役員は言った。
“Senior”
なにも英語で話しをせんでも全部わかっているやないか。
