めがねをかけましょう
- 2015/08/13
- 00:00
僕の先輩のひとりにJさんがいる。
僕より戸籍上の年齢は、もちろん上である。
僕が転職してきたIT系の会社には、以前から勤めておられた。
技術一筋の方で、得意分野では達人だった。
いわゆる職人肌の技術者というタイプだ。
決して饒舌なわけではない。
仕事は丁寧で、一旦その気になると、他の人にはできないことをやってしまう。
昔はそういう職人気質の技術者がたくさんいた。
あるときは、お客様にもずけずけと物を言う。
正しくないときは、相手がお客様であっても、きっちりと正論を吐くのである。
こういう人は、お客様からも重宝がられる。
ひさしぶりにJさんと一緒に仕事をすることになった。
Jさんがパソコンに向かって仕事をしている。
当時は、液晶モニターではない。
ブラウン管のモニターが机の上にでんと乗っかっている。
Jさんがモニターを見始めたと思うと、いきなり、鞄から大きな虫眼鏡を取り出した。
それを自分の顔とモニターの間に置く。
きっとブラウン管の文字が小さいので、拡大して見やすくしているのである。
今のスマホのように、画面を触って拡大するような機能は、まだ出てきていない。
画面にはアルファベットがいっぱいに表示されている。
簡単に画面を大きくすることはできないのだ。
また、あるときは、Jさんがマニュアルを広げている。
そのときもすかさず鞄から虫眼鏡が登場する。
虫眼鏡の出し方が、とても素早い。
一刻も早く、拡大してみないと、大きな損失となる、そんな感じだ。
Jさんに話しかけた。
「Jさん、目が見えにくいのだったら,眼鏡を作ったら、どうですか。老眼鏡は、結構安く作れますよ」
すると、Jさんは、
「いえ、日常生活では不便を感じてませんので」
モニターを見たり、本を読んだり、それが日常生活でしょう。
とは僕は言えなかった。
Jさんの日常生活とは、なになんだろう。

僕より戸籍上の年齢は、もちろん上である。
僕が転職してきたIT系の会社には、以前から勤めておられた。
技術一筋の方で、得意分野では達人だった。
いわゆる職人肌の技術者というタイプだ。
決して饒舌なわけではない。
仕事は丁寧で、一旦その気になると、他の人にはできないことをやってしまう。
昔はそういう職人気質の技術者がたくさんいた。
あるときは、お客様にもずけずけと物を言う。
正しくないときは、相手がお客様であっても、きっちりと正論を吐くのである。
こういう人は、お客様からも重宝がられる。
ひさしぶりにJさんと一緒に仕事をすることになった。
Jさんがパソコンに向かって仕事をしている。
当時は、液晶モニターではない。
ブラウン管のモニターが机の上にでんと乗っかっている。
Jさんがモニターを見始めたと思うと、いきなり、鞄から大きな虫眼鏡を取り出した。
それを自分の顔とモニターの間に置く。
きっとブラウン管の文字が小さいので、拡大して見やすくしているのである。
今のスマホのように、画面を触って拡大するような機能は、まだ出てきていない。
画面にはアルファベットがいっぱいに表示されている。
簡単に画面を大きくすることはできないのだ。
また、あるときは、Jさんがマニュアルを広げている。
そのときもすかさず鞄から虫眼鏡が登場する。
虫眼鏡の出し方が、とても素早い。
一刻も早く、拡大してみないと、大きな損失となる、そんな感じだ。
Jさんに話しかけた。
「Jさん、目が見えにくいのだったら,眼鏡を作ったら、どうですか。老眼鏡は、結構安く作れますよ」
すると、Jさんは、
「いえ、日常生活では不便を感じてませんので」
モニターを見たり、本を読んだり、それが日常生活でしょう。
とは僕は言えなかった。
Jさんの日常生活とは、なになんだろう。
