ダンシングオールナイト(2)
- 2015/09/04
- 00:00
僕の役割は、お客様の同行であるので、旅行会社の添乗員と変わらないところがある。
空港からダウンタウンのホテルまでは、空港で借りたレンタカーを使う。
もちろん運転手は僕になる。
レンタカーも、4人がスーツケースを持っているので、セダンタイプの車では間に合わない。
大型のワゴン車を借りる。
ホテルにチェックインすると、4人で食事に行くことになる。
チャイナタウンで食事をすることになった。
誰が言い出したわけでもなく、何となくの流れである。
今回の出張の目的は、僕が仕事をしていたIT系の会社の研究所がアメリカに何カ所かあり、そこを訪問することである。
僕はエスコートする人。他の3人の方は、エスコートされるお客様である。
お客様3人は、会の社業務出張ではあるが、比較的気楽と言えば、気楽だ。
中華を食べた後、どうしようかということになる。
日本であれば、場所を変えて飲みに行くとか、歌いにいくとかになるのだが、場所は,よく知らない海外である。
結論として、出てきたのが、ストリップに行こうということだった。
ストリップと言っても、日本のものとは違い、アメリカのものは、陰湿な感じがしない。
日本のストリップは、ぎらぎらとした男性の欲望丸出しのようなところがある。
アメリカでは、映画でもよく見るようなステージがあって、そこには天井まで伸びるポールがある。
ダンサーが出てきて、ポールダンスを踊ったり、ある程度の露出はあるが、日本のヌード劇場によくあるえげつなさはない。
明るいエンターテイメントだ。
まだまだ太陽は沈まない。
通りは昼間と変わらない明るさだ。
そのなかで、それとおぼしき店に入る。
店の中は暗いが、すぐに目が慣れる。
真ん中に広いスペースがある。
スペースの周りには、仕切りのようなパイプのバーがある。
その外側にテーブルがある。
テーブルの周りに,4人して椅子を並べて座る。
まだ時間が早いせいか、他の客は1組くらいだ。
ウエイターが来て、注文を聞く。
適当にビールを頼む。
しばし歓談である。
明日の予定とかが話題になる。
まだ店の中は静かである。
音楽が静かに流れているようではある。
「なかなか始まりませんね。遅いですね」と一番若いNさんが、少しじれながら言う。
「これからでしょう。少し待ちましょう」と年輩のIさんが落ち着いた声は出す。
早く見たい気持はあるのに、それを抑えているのだ。
時間が過ぎていく。
新しい客が入ってくる。
その中には、女性客もいる。
さすがにアメリカだ。
ストリップでも、男性版もあると聞いたことがある。
男女平等である。
新しく来た客が、店の真ん中のポールで囲まれた中に入っていく。
なにかおかしい。
そのうち、踊り始める。
音楽も大きくなる。
ここまで来るとさすがの4人衆もおかしいということに気がつく。
「なにかへんですね」と静かに見守っていたTさんも言い始める。
「間違えたようですね」と僕が言う。
これは明らかにストリップではない。
すごすごと店の出口の方に向かう。
店のドアを押して、外の道路に出る。
まだ明るさが残っている。
店の外のネオンだけがぴかぴかと瞬く。
このけばけばしい色合いのネオンを見て、店の中に入ったのだ。
よく読めば、そのネオンには、“ダンシングオールナイト”と書いてあるではないか。
DANCING ALL NIGHT だ。
読まずに、派手な色にだまされて入ってしまったのだ。
その結果がストリップと思っていたのが、ディスコだった。

空港からダウンタウンのホテルまでは、空港で借りたレンタカーを使う。
もちろん運転手は僕になる。
レンタカーも、4人がスーツケースを持っているので、セダンタイプの車では間に合わない。
大型のワゴン車を借りる。
ホテルにチェックインすると、4人で食事に行くことになる。
チャイナタウンで食事をすることになった。
誰が言い出したわけでもなく、何となくの流れである。
今回の出張の目的は、僕が仕事をしていたIT系の会社の研究所がアメリカに何カ所かあり、そこを訪問することである。
僕はエスコートする人。他の3人の方は、エスコートされるお客様である。
お客様3人は、会の社業務出張ではあるが、比較的気楽と言えば、気楽だ。
中華を食べた後、どうしようかということになる。
日本であれば、場所を変えて飲みに行くとか、歌いにいくとかになるのだが、場所は,よく知らない海外である。
結論として、出てきたのが、ストリップに行こうということだった。
ストリップと言っても、日本のものとは違い、アメリカのものは、陰湿な感じがしない。
日本のストリップは、ぎらぎらとした男性の欲望丸出しのようなところがある。
アメリカでは、映画でもよく見るようなステージがあって、そこには天井まで伸びるポールがある。
ダンサーが出てきて、ポールダンスを踊ったり、ある程度の露出はあるが、日本のヌード劇場によくあるえげつなさはない。
明るいエンターテイメントだ。
まだまだ太陽は沈まない。
通りは昼間と変わらない明るさだ。
そのなかで、それとおぼしき店に入る。
店の中は暗いが、すぐに目が慣れる。
真ん中に広いスペースがある。
スペースの周りには、仕切りのようなパイプのバーがある。
その外側にテーブルがある。
テーブルの周りに,4人して椅子を並べて座る。
まだ時間が早いせいか、他の客は1組くらいだ。
ウエイターが来て、注文を聞く。
適当にビールを頼む。
しばし歓談である。
明日の予定とかが話題になる。
まだ店の中は静かである。
音楽が静かに流れているようではある。
「なかなか始まりませんね。遅いですね」と一番若いNさんが、少しじれながら言う。
「これからでしょう。少し待ちましょう」と年輩のIさんが落ち着いた声は出す。
早く見たい気持はあるのに、それを抑えているのだ。
時間が過ぎていく。
新しい客が入ってくる。
その中には、女性客もいる。
さすがにアメリカだ。
ストリップでも、男性版もあると聞いたことがある。
男女平等である。
新しく来た客が、店の真ん中のポールで囲まれた中に入っていく。
なにかおかしい。
そのうち、踊り始める。
音楽も大きくなる。
ここまで来るとさすがの4人衆もおかしいということに気がつく。
「なにかへんですね」と静かに見守っていたTさんも言い始める。
「間違えたようですね」と僕が言う。
これは明らかにストリップではない。
すごすごと店の出口の方に向かう。
店のドアを押して、外の道路に出る。
まだ明るさが残っている。
店の外のネオンだけがぴかぴかと瞬く。
このけばけばしい色合いのネオンを見て、店の中に入ったのだ。
よく読めば、そのネオンには、“ダンシングオールナイト”と書いてあるではないか。
DANCING ALL NIGHT だ。
読まずに、派手な色にだまされて入ってしまったのだ。
その結果がストリップと思っていたのが、ディスコだった。
