上位下達
- 2015/01/21
- 00:01
上位下達。
この4文字熟語を正確に読める人は、意外に少ない。
読んでみてください、と初めて言われたときに,僕自身、間違えた。
それを教えてくれたのは、僕の尊敬する先輩Tさんである。
Tさんは、年齢は僕より上で、会社は別であったが、在職中は、役職も技術職としてはトップクラスのところにおられた。
ただ、その地位や年齢を理由に部下に対して上から目線で見るようなことはなく、いつも若い人に対しても、同じ視線で話をされていた。
そういうTさんであったので、いつも部下から慕われており、話しがしやすい上司だったのである。
Tさんとは定年後も、ある活動でご一緒する機会が多かったのであるが、小規模な会合のなかで、Tさんがスピーチをすることがあった。そのスピーチのなかで、Tさんは、クモ膜下出血を、くもまくしたしゅっけつ、と言われた。そのように言われても意味は分かるのであるが、スピーチのなかで数回にわたり、同じ読み方をされた。
スピーチの後で、僕はTさんに、あの読み方はおかしいです、くもまっかしゅっけつです、という話をした。
それに対して、Tさんは、そうですか、いや、実は同じような過ちを在職中にしたことがあるのです、と言われた。
それが巻頭の上位下達である。
Tさんは、じょういげだつ と言われたのであるが、それを部下の方から正しい読み方を指摘されたという。
そしてTさんは、その指摘を受けた事をありがたいと言われる。
もしも嫌いな上司、先輩であれば、間違った読み方をしても、それをわざわざ指摘することはなく、その人のいないところで、笑い話にしているかもしれない。
自分の後輩と同じところに立って、つきあえる上司であり先輩であるからこそ、教えてくれるわけである。
僕は、上意下達の正しい読み方を知ってから、世の中でどのくらいの人が正しく読めるかを調べることにした。
3ヶ月くらいの間に100人近い人に質問をした。
正しく言えたのは、3人だけだった。正解率は3%である。
内2人は、僕より年上の男性であり、残りの一人は、20代の女の子であった。
彼女は、国立大学の文学部出身であり、言葉には、日本語だけでなく、英語にも独特のセンスを持っていた。
皮肉混じりのボブディランの歌を聞いて、笑ったのは彼女くらいである。
上意下達と言う言葉そのものも日常生活には、ほとんど出てこない。
新聞でもお目にかかるのは年に1回あるかないか、だろうか。
JRの福知山線の事故の裁判に関する記事で、見出しになっていたことがある。
上層部からの意志命令が的確に部下に対して伝わっていたかが、問題になっていたからだろう。
意味を考えれば、正しい読み方も分かりやすい。
じょうしのいとが、ぶかにでんたつされる。すなわち じょういかたつ である。

この4文字熟語を正確に読める人は、意外に少ない。
読んでみてください、と初めて言われたときに,僕自身、間違えた。
それを教えてくれたのは、僕の尊敬する先輩Tさんである。
Tさんは、年齢は僕より上で、会社は別であったが、在職中は、役職も技術職としてはトップクラスのところにおられた。
ただ、その地位や年齢を理由に部下に対して上から目線で見るようなことはなく、いつも若い人に対しても、同じ視線で話をされていた。
そういうTさんであったので、いつも部下から慕われており、話しがしやすい上司だったのである。
Tさんとは定年後も、ある活動でご一緒する機会が多かったのであるが、小規模な会合のなかで、Tさんがスピーチをすることがあった。そのスピーチのなかで、Tさんは、クモ膜下出血を、くもまくしたしゅっけつ、と言われた。そのように言われても意味は分かるのであるが、スピーチのなかで数回にわたり、同じ読み方をされた。
スピーチの後で、僕はTさんに、あの読み方はおかしいです、くもまっかしゅっけつです、という話をした。
それに対して、Tさんは、そうですか、いや、実は同じような過ちを在職中にしたことがあるのです、と言われた。
それが巻頭の上位下達である。
Tさんは、じょういげだつ と言われたのであるが、それを部下の方から正しい読み方を指摘されたという。
そしてTさんは、その指摘を受けた事をありがたいと言われる。
もしも嫌いな上司、先輩であれば、間違った読み方をしても、それをわざわざ指摘することはなく、その人のいないところで、笑い話にしているかもしれない。
自分の後輩と同じところに立って、つきあえる上司であり先輩であるからこそ、教えてくれるわけである。
僕は、上意下達の正しい読み方を知ってから、世の中でどのくらいの人が正しく読めるかを調べることにした。
3ヶ月くらいの間に100人近い人に質問をした。
正しく言えたのは、3人だけだった。正解率は3%である。
内2人は、僕より年上の男性であり、残りの一人は、20代の女の子であった。
彼女は、国立大学の文学部出身であり、言葉には、日本語だけでなく、英語にも独特のセンスを持っていた。
皮肉混じりのボブディランの歌を聞いて、笑ったのは彼女くらいである。
上意下達と言う言葉そのものも日常生活には、ほとんど出てこない。
新聞でもお目にかかるのは年に1回あるかないか、だろうか。
JRの福知山線の事故の裁判に関する記事で、見出しになっていたことがある。
上層部からの意志命令が的確に部下に対して伝わっていたかが、問題になっていたからだろう。
意味を考えれば、正しい読み方も分かりやすい。
じょうしのいとが、ぶかにでんたつされる。すなわち じょういかたつ である。
