教壇からの先生の視線
- 2015/10/05
- 00:00
仕事の関係で、いろいろな大学の先生方とお会いしたり、一緒になにかをすることも多い。
そういうなかで、親しくなれる先生もおられれば、これはあかん、とできるだけ距離を置いて、接点を持たないようにする先生もおられる。
Q先生は、国立大学のトップクラスの先生である。
大学も組織なので、会社と同じように、社長に相当する学長がおられて、その下に組織体ができあがる。
Q先生は、そのなかでも重責を担っておられたのだ。
いまではとてもそんな時間の余裕がないだろうが、若いときには、週1回他の大学の非常勤講師をされていた。
大学の先生、特に国立大学の先生の給与というのは、それほど恵まれていないという話を聞いたことがある。
アメリカだと、企業との共同研究とかで研究費を学外から得た場合は、先生本人にもいくらかの収入が入るような仕組みがあるらしいが、日本ではそれがないという。
これは聞いた話なので、どこまでが正しいかは分からないが、おおよそ合っているのだろう。
同じような研究をしていても、また同じような成果を出していても、収入に差があるというのは面白くないと思う。
研究の分野では、国境なんていうものはないから、海外の研究者と共同研究をしている場合は、その問題はいつも近くにある問題となってしまう。
海外への頭脳の流出ということは遠い昔から言われているが、それを加速している一因もこのあたりにあるのかもしれない。
もちろん収入だけではなく、研究者としての環境も大きく違うということもあるはずだ。
そんな背景があったのか、Q先生は、週1回の非常勤講師を何年も継続してやっておられた。
しかもその大学は,私立の女子大だというではないか。
担当している講義は、一般的なIT授業で、わざわざ国立大学の先生が出向かなくてもよいと思うのだが、私立の女子大としても、講師の肩書きが重要なのだろう。
あるとき、僕はQ先生に提案してみた。
「先生、授業のときに助手が必要になりませんか。特に実習になると一人で30人くらいを見るのは大変でしょう。いつでも呼んでください」と、きっとQ先生にとってもいい話だと思って言ったのだ。
当時、僕はIT会社に勤めていた。
Q先生からは、なにも返事がなかったが、きっと同じような下心を持った提案をする人がたくさんいたのだろう。
もともと大学院の学生だと、TA(Teaching Assistant, ティーチングアシスタント)という授業の補助をバイトでする制度もあるので、必要なときは、Q先生の研究室から学生を連れて行けばよかったのかもしれない。
Q先生から、いい返事はもらえなかったが、面白い話を教えてもらえた。
それは、授業をするときの学生への眼の配り方だ。
相手は、若い女子学生である。
しかもその女子大では、講師の先生であっても学生による、講師に対する勤務評価があるという。
半ば女子大生による講師の人気投票のようなものだ。
手を抜くことはないだろうが、女子大生の機嫌を損ねるようなことをやると、勤務評価が下がってしまい、翌年の講師再任が難しくなるのだ。
授業のときには、万遍なく教室の女子学生を見ないといけない。
特に実習がある時間は、さらに女子学生との距離が物理的に縮まるので要注意だという。
秘訣はこうだ。
教室には、いろいろな学生がいる。
美しい女子学生、惹きつけられる女子学生、魅力的な女子学生、それと反対に“それほどではない女子学生”もいる。
これは単純に見た目だけの判断である。
Q先生の取った態度は、できるだけ、“それほどではない女子学生”を注意して見る、実習では教えるということだった。
男は、なにも制御しないと、美しい方に惹きつけられる。
それはいかんともしがたい。
そこで、“それほどではない女子学生”に精一杯気配りをする。
意識的に”それほどではない女子学生”に視線を送る。
それをやって、初めて等分に全員を見ることになるというのだ。
きっと美しい方には、意識をしなくても、視線が行き、声もかけてしまうのだろう。
それを均等にするための努力が必要になるのだ。
これは数年間の女子大での講師を経験したQ先生の言葉だったので、おそらく正しいのだろう。
それともう一つ。
実習のときに、まだマウス操作に慣れない女子学生がいる。
そういう女子学生を指導するときは、右後ろからマウスを触らないといけないという。
「なんでですか」と僕があえて尋ねると、
「それは左後ろから右手でマウスを触りに行くと、腕があたるではないですか」とQ先生は、自分の胸のあたりを触る。
「そうか、マウスは、女子学生の右側にあるのですね。。。。」
でも、左利きの女子学生が、マウスを左側に置いている場合は、反対ですね、と言い出しそうになって、そこまでつっこむのはやめた。
女子学生に囲まれるというのも、傍目には、いいと思うが、大変なことも多いということだ。

そういうなかで、親しくなれる先生もおられれば、これはあかん、とできるだけ距離を置いて、接点を持たないようにする先生もおられる。
Q先生は、国立大学のトップクラスの先生である。
大学も組織なので、会社と同じように、社長に相当する学長がおられて、その下に組織体ができあがる。
Q先生は、そのなかでも重責を担っておられたのだ。
いまではとてもそんな時間の余裕がないだろうが、若いときには、週1回他の大学の非常勤講師をされていた。
大学の先生、特に国立大学の先生の給与というのは、それほど恵まれていないという話を聞いたことがある。
アメリカだと、企業との共同研究とかで研究費を学外から得た場合は、先生本人にもいくらかの収入が入るような仕組みがあるらしいが、日本ではそれがないという。
これは聞いた話なので、どこまでが正しいかは分からないが、おおよそ合っているのだろう。
同じような研究をしていても、また同じような成果を出していても、収入に差があるというのは面白くないと思う。
研究の分野では、国境なんていうものはないから、海外の研究者と共同研究をしている場合は、その問題はいつも近くにある問題となってしまう。
海外への頭脳の流出ということは遠い昔から言われているが、それを加速している一因もこのあたりにあるのかもしれない。
もちろん収入だけではなく、研究者としての環境も大きく違うということもあるはずだ。
そんな背景があったのか、Q先生は、週1回の非常勤講師を何年も継続してやっておられた。
しかもその大学は,私立の女子大だというではないか。
担当している講義は、一般的なIT授業で、わざわざ国立大学の先生が出向かなくてもよいと思うのだが、私立の女子大としても、講師の肩書きが重要なのだろう。
あるとき、僕はQ先生に提案してみた。
「先生、授業のときに助手が必要になりませんか。特に実習になると一人で30人くらいを見るのは大変でしょう。いつでも呼んでください」と、きっとQ先生にとってもいい話だと思って言ったのだ。
当時、僕はIT会社に勤めていた。
Q先生からは、なにも返事がなかったが、きっと同じような下心を持った提案をする人がたくさんいたのだろう。
もともと大学院の学生だと、TA(Teaching Assistant, ティーチングアシスタント)という授業の補助をバイトでする制度もあるので、必要なときは、Q先生の研究室から学生を連れて行けばよかったのかもしれない。
Q先生から、いい返事はもらえなかったが、面白い話を教えてもらえた。
それは、授業をするときの学生への眼の配り方だ。
相手は、若い女子学生である。
しかもその女子大では、講師の先生であっても学生による、講師に対する勤務評価があるという。
半ば女子大生による講師の人気投票のようなものだ。
手を抜くことはないだろうが、女子大生の機嫌を損ねるようなことをやると、勤務評価が下がってしまい、翌年の講師再任が難しくなるのだ。
授業のときには、万遍なく教室の女子学生を見ないといけない。
特に実習がある時間は、さらに女子学生との距離が物理的に縮まるので要注意だという。
秘訣はこうだ。
教室には、いろいろな学生がいる。
美しい女子学生、惹きつけられる女子学生、魅力的な女子学生、それと反対に“それほどではない女子学生”もいる。
これは単純に見た目だけの判断である。
Q先生の取った態度は、できるだけ、“それほどではない女子学生”を注意して見る、実習では教えるということだった。
男は、なにも制御しないと、美しい方に惹きつけられる。
それはいかんともしがたい。
そこで、“それほどではない女子学生”に精一杯気配りをする。
意識的に”それほどではない女子学生”に視線を送る。
それをやって、初めて等分に全員を見ることになるというのだ。
きっと美しい方には、意識をしなくても、視線が行き、声もかけてしまうのだろう。
それを均等にするための努力が必要になるのだ。
これは数年間の女子大での講師を経験したQ先生の言葉だったので、おそらく正しいのだろう。
それともう一つ。
実習のときに、まだマウス操作に慣れない女子学生がいる。
そういう女子学生を指導するときは、右後ろからマウスを触らないといけないという。
「なんでですか」と僕があえて尋ねると、
「それは左後ろから右手でマウスを触りに行くと、腕があたるではないですか」とQ先生は、自分の胸のあたりを触る。
「そうか、マウスは、女子学生の右側にあるのですね。。。。」
でも、左利きの女子学生が、マウスを左側に置いている場合は、反対ですね、と言い出しそうになって、そこまでつっこむのはやめた。
女子学生に囲まれるというのも、傍目には、いいと思うが、大変なことも多いということだ。
