胸にしこり(3)
- 2015/10/22
- 00:00
手術がを終わって1週間が過ぎた。
胸のあたりは、初めてのメスに身体が反応しているのだろう、違和感はある。
これもそのうち消えるだろうと思っていた。
珍しくY君から電話があった。
電話をもらうのは初めてのことだ。
「言おうか,言うまいか迷っていたのだけどな」とY君が切り出す。
「なんや、気持ち悪いな。なにかあったんか」
手術の後、当然腫瘍を生体検査にまわしているはずだ。
「検査の結果がきたんや。同じところに2つ出した」
「うんうん、それで」
早く結論を言ってくれ,と急がせる。
「ひとつの結果は、良性や」
「もうひとつは、どうなんや」
「それが、悪性ではないが、いいか、悪性と決まったわけではないが、悪性の可能性があるというものや」
「よう、わからんな」
「悪性ではないから、あまり心配せんでもええんや」
と言われても、気になる。
「どうしたらいいんや」
「そうやな、時々触ってみることやな」
確かに女性の場合は、胸を触ってしこりがあることで乳がんを発見するという話を聞いたことがある。
男性にも乳がんがあるというなら、同じことなんだろう。
「それやったら、毎日触ってみるわ」
「いや、そんなに無理に毎日触らんでもいい」
あれから10年以上、いや20年くらい経っているから、あのときの腫瘍は結局は悪性ではなかったのだろう。
早期発見がよかったのか、手術して切除したのがよかったのか、よく分からないが、健康に対するなにかの警告であったのかもしれない。
あの日は、日帰りで戻ってきたのだが、数日間でも入院していれば、保険に入っていたので、入院給付金がでたということだ。当時は仕事が忙しくてゆっくり入院する余裕もなかったが、考えてみれば、入院せざるを得ないときは、仕事がどうこうと言っている場合ではないはずだ。
切った後の胸の違和感、むずがゆさは、長い間続いた。
連続してあるのではなく、すっかり忘れていた頃に、また皮膚が思い出したように、かゆくなるのだ。
しかしその頻度も段々少なくなり、10年くらい経ったころには、すっかりそれもなくなった。
いずれにしても、健康を維持するように気をつけないとね。

胸のあたりは、初めてのメスに身体が反応しているのだろう、違和感はある。
これもそのうち消えるだろうと思っていた。
珍しくY君から電話があった。
電話をもらうのは初めてのことだ。
「言おうか,言うまいか迷っていたのだけどな」とY君が切り出す。
「なんや、気持ち悪いな。なにかあったんか」
手術の後、当然腫瘍を生体検査にまわしているはずだ。
「検査の結果がきたんや。同じところに2つ出した」
「うんうん、それで」
早く結論を言ってくれ,と急がせる。
「ひとつの結果は、良性や」
「もうひとつは、どうなんや」
「それが、悪性ではないが、いいか、悪性と決まったわけではないが、悪性の可能性があるというものや」
「よう、わからんな」
「悪性ではないから、あまり心配せんでもええんや」
と言われても、気になる。
「どうしたらいいんや」
「そうやな、時々触ってみることやな」
確かに女性の場合は、胸を触ってしこりがあることで乳がんを発見するという話を聞いたことがある。
男性にも乳がんがあるというなら、同じことなんだろう。
「それやったら、毎日触ってみるわ」
「いや、そんなに無理に毎日触らんでもいい」
あれから10年以上、いや20年くらい経っているから、あのときの腫瘍は結局は悪性ではなかったのだろう。
早期発見がよかったのか、手術して切除したのがよかったのか、よく分からないが、健康に対するなにかの警告であったのかもしれない。
あの日は、日帰りで戻ってきたのだが、数日間でも入院していれば、保険に入っていたので、入院給付金がでたということだ。当時は仕事が忙しくてゆっくり入院する余裕もなかったが、考えてみれば、入院せざるを得ないときは、仕事がどうこうと言っている場合ではないはずだ。
切った後の胸の違和感、むずがゆさは、長い間続いた。
連続してあるのではなく、すっかり忘れていた頃に、また皮膚が思い出したように、かゆくなるのだ。
しかしその頻度も段々少なくなり、10年くらい経ったころには、すっかりそれもなくなった。
いずれにしても、健康を維持するように気をつけないとね。
