RAINBOW PAPA
- 2015/11/13
- 00:00
IT会社に入ると、研修があってね。
僕は途中入社なので、新人ではなかったけど、ちょうどそのときは、大量に途中入社を採用していたときだった。
中には、20代前半で、大学新卒で初めて入った会社を1年で辞めて、転職してきたという、まぁ気の短い奴もいたりしてね。
僕はその中では、かなり年齢は上のほうだった。
僕より年上は、一人いたかな。
研修は、通常の新人研修と全て同じだった。
コースには、研修部門からコース担当者、クラスマネジャー(CM)と呼ぶ人が付いている。
研修部門というのは、入社してから、辞めるまで研修部門という人はいなくてね。
たいていが、現場の営業だったり、SEだった人が、数年間だけ転籍して務めるわけだ。
そのほうが実際の現場を知っているから、受講生にとっては、いいのだろう。
テキストの上だけでのコースなんて意味がないからね。
特に営業の研修はそうだ。
技術の場合は、まずは勉強だから、テキストでも十分なところがある。
僕のクラスは、ほとんど同じメンバーで1年間を過ごした。
短いコースは、1週間、長いコースになると3週間ある。
そういうコースが全部で10本あるという、今では考えられない、時間をかけた研修だったね。
研修を受けるために、東京へ行く。
終わるとまた大阪に戻って、現場に出て行くという具合だ。
それを繰り返すわけ。
クラスによっては、講師より、ある分野では、詳しい人がいたりする。
特にSE経験者で転職してきた人は、講師より圧倒的に多くの知識を持っているということもあるのだ。
こうなると、下手な説明をしようものなら、生徒であるSE経験者の餌食になってしまう。
それをまとめるCMも大変だったと思う。
新人研修であれば、受講生は、せいぜい20代半ばだ。
CMよりは大抵は10歳以上若いということになる。
ところが、僕のクラスときたら、そうはいかないから、CMにとっては、扱いにくいこと、この上なかったと思う。
そのCMのなかでも、ユーモアのある人がいた。
SE経験者だったので、ある程度の技術も持っているわけだ。
彼の担当する時間は、必ず冗談が2つ、3つ出てくる。
大抵は、どうしようもないダジャレの類いだったのだが、唯一、これは参りましたと認めたものがある。
それは自己紹介の時間だ。
当時は今のようにプレゼンとなればPCを使って、パワポという訳にはいかない。
PCはあったけど、なにしろDOS文書の時代だ。
しかもPCからプロジェクターに投影ということもない。
使う道具は、OHPだ。
オーバーヘッドプロジェクターというものだ。
フォイルと呼んでいる、透明なシートに、油性ペンを使って手書きで書いたものをOHPの上に載せて、投影する。
手書きの分、いろいろ漫画的な絵を入れたり、文字もユニークだったりと、考えてみれば、今よりも味があったのかもしれない。
クラスに漫画のうまい奴がいた。
彼には、プレゼンのときに、そのページをイメージするような挿絵をよく書いてもらったものだ。
机の前で、頭を悩ましている男の絵。机の上の灰皿には、たばこの吸い殻の山がある。
という調子で、依頼をする。
すると、漫画屋は、さらさらっと数分で絵を仕上げるという案配だ。
ダジャレ好きのCMの作ったヒット作。
それは自己紹介のOHPプレゼンだ。
CMもコースの初めに自己紹介をする。
社内の経歴とか、得意分野を文章で書いて、それを使って説明するパターンが多いのだが、彼の場合は、全く違った。
プレゼン資料の1枚目。
一番上には、名前が書いてある。その後には、意味不明のアルファベットが並ぶ。
英語で “RAINBOW PAPA” と、読める。
なんだ、これは?!
彼は、クイズも好きなCMだった。
大抵ひとつのコースのどこかでクイズタイムをわざわざ作るくらいだ。
このOHP資料もダジャレとクイズが合体したものだったのだ。
さて、このクイズの答えは分かるかな。

答えは、RAINBOW PAPA = 虹のパパ = 二児の父親 っていうことだよ。
答えを聞いたクラスの連中は、一斉に「しようぶな!」とブーイングだ。
でも、僕は結構できてるではないか、と頭のなかでは感心していたものだ。
いまだったら、きっとパワポのプレゼンになる。
画面一杯に虹の写真がある。
そして名前が表示される。
その次に、RAINBOW PAPAという文字が浮き上がってくる。
文字には一文字毎に別の色が付けられている。
RAINBOWは7文字だ。
でも、当時のテキストだけのプレゼン資料は、いまでも覚えているくらいだから、印象が強烈だった。
要は、見栄えより中味が重要ということだ。
僕は途中入社なので、新人ではなかったけど、ちょうどそのときは、大量に途中入社を採用していたときだった。
中には、20代前半で、大学新卒で初めて入った会社を1年で辞めて、転職してきたという、まぁ気の短い奴もいたりしてね。
僕はその中では、かなり年齢は上のほうだった。
僕より年上は、一人いたかな。
研修は、通常の新人研修と全て同じだった。
コースには、研修部門からコース担当者、クラスマネジャー(CM)と呼ぶ人が付いている。
研修部門というのは、入社してから、辞めるまで研修部門という人はいなくてね。
たいていが、現場の営業だったり、SEだった人が、数年間だけ転籍して務めるわけだ。
そのほうが実際の現場を知っているから、受講生にとっては、いいのだろう。
テキストの上だけでのコースなんて意味がないからね。
特に営業の研修はそうだ。
技術の場合は、まずは勉強だから、テキストでも十分なところがある。
僕のクラスは、ほとんど同じメンバーで1年間を過ごした。
短いコースは、1週間、長いコースになると3週間ある。
そういうコースが全部で10本あるという、今では考えられない、時間をかけた研修だったね。
研修を受けるために、東京へ行く。
終わるとまた大阪に戻って、現場に出て行くという具合だ。
それを繰り返すわけ。
クラスによっては、講師より、ある分野では、詳しい人がいたりする。
特にSE経験者で転職してきた人は、講師より圧倒的に多くの知識を持っているということもあるのだ。
こうなると、下手な説明をしようものなら、生徒であるSE経験者の餌食になってしまう。
それをまとめるCMも大変だったと思う。
新人研修であれば、受講生は、せいぜい20代半ばだ。
CMよりは大抵は10歳以上若いということになる。
ところが、僕のクラスときたら、そうはいかないから、CMにとっては、扱いにくいこと、この上なかったと思う。
そのCMのなかでも、ユーモアのある人がいた。
SE経験者だったので、ある程度の技術も持っているわけだ。
彼の担当する時間は、必ず冗談が2つ、3つ出てくる。
大抵は、どうしようもないダジャレの類いだったのだが、唯一、これは参りましたと認めたものがある。
それは自己紹介の時間だ。
当時は今のようにプレゼンとなればPCを使って、パワポという訳にはいかない。
PCはあったけど、なにしろDOS文書の時代だ。
しかもPCからプロジェクターに投影ということもない。
使う道具は、OHPだ。
オーバーヘッドプロジェクターというものだ。
フォイルと呼んでいる、透明なシートに、油性ペンを使って手書きで書いたものをOHPの上に載せて、投影する。
手書きの分、いろいろ漫画的な絵を入れたり、文字もユニークだったりと、考えてみれば、今よりも味があったのかもしれない。
クラスに漫画のうまい奴がいた。
彼には、プレゼンのときに、そのページをイメージするような挿絵をよく書いてもらったものだ。
机の前で、頭を悩ましている男の絵。机の上の灰皿には、たばこの吸い殻の山がある。
という調子で、依頼をする。
すると、漫画屋は、さらさらっと数分で絵を仕上げるという案配だ。
ダジャレ好きのCMの作ったヒット作。
それは自己紹介のOHPプレゼンだ。
CMもコースの初めに自己紹介をする。
社内の経歴とか、得意分野を文章で書いて、それを使って説明するパターンが多いのだが、彼の場合は、全く違った。
プレゼン資料の1枚目。
一番上には、名前が書いてある。その後には、意味不明のアルファベットが並ぶ。
英語で “RAINBOW PAPA” と、読める。
なんだ、これは?!
彼は、クイズも好きなCMだった。
大抵ひとつのコースのどこかでクイズタイムをわざわざ作るくらいだ。
このOHP資料もダジャレとクイズが合体したものだったのだ。
さて、このクイズの答えは分かるかな。

答えは、RAINBOW PAPA = 虹のパパ = 二児の父親 っていうことだよ。
答えを聞いたクラスの連中は、一斉に「しようぶな!」とブーイングだ。
でも、僕は結構できてるではないか、と頭のなかでは感心していたものだ。
いまだったら、きっとパワポのプレゼンになる。
画面一杯に虹の写真がある。
そして名前が表示される。
その次に、RAINBOW PAPAという文字が浮き上がってくる。
文字には一文字毎に別の色が付けられている。
RAINBOWは7文字だ。
でも、当時のテキストだけのプレゼン資料は、いまでも覚えているくらいだから、印象が強烈だった。
要は、見栄えより中味が重要ということだ。