名探偵モンク vs. 相棒 (2)
- 2015/12/03
- 00:00
モンクとアシスタントのナタリーが街を歩いている。
サンフランシスコのダウンタウン。人通りも多い。
歩いてくる女性、少し太めの体格の良い女性が二人に向かってくる。
すれ違う。
以前会ったこともない女性だ。
ナタリーはそのまま歩いて行く。
モンクは、なぜか分からず、通り過ぎる女性を振り返って見る。
女性はどんどん歩いて遠ざかる。
モンクは理由もなく、女性の後を追う。
簡単には追いつかない。
道路の向こう側に行った女性を追いかけて、車の走っている道路に飛び出して車にひかれそうになりながら、追いかける。
ナタリーも、モンクの後を追いかけてくる。
だが、女性の姿を見失ってしまう。
ナタリーがモンクに誰なのと聞くが、モンクも分からない。
思い出さないのだ。
モンクは家に戻っても女性のことが気になる。
夜も寝られない。
不眠症になってしまう。
そんな日が3日間も続く。
モンクは深夜に街に出て行く。
街では新聞配達の車がすでに走っている。
車から大柄な黒人が新聞の束をいくつも店の前に投げていく。
モンクは、ばらばらに投げられた新聞の束が許せない。
きちんと並んでいないと許せないのだ。
新聞の束に触っていると、それを投げた黒人に車の中から、取るんじゃないぞと怒鳴られる。
こんな時間に街にいるモンクを見て、タクシーが車を探しているのだろうと思って、横に来て車のなかから呼びかける。乗りますかって。
モンクは、乗らないと断る。
タクシーはすぐに走り去る。だが、そのとき、モンクはタクシーのドライバーの顔を瞬間見る。
あっ、あの女性だ。3日間探していた女性だ。
モンクは、すぐに待ってくれというが、すでに遅い。タクシーは走り去っていく。
モンクは、タクシーを追いかけて行くが、結局追いつかなかった。
がっかりして、街を歩いていると、殺人事件を目撃する。
モンクは激しい言い争いの声を窓の外から聞いて、身を隠しながら、部屋の中を見る。
潜入捜査をしている捜査官が撃たれる。
捜査官を射殺した薬の売人、それとその客の3人だ。
犯人と客の二人が車で逃げ去る。
警部に連絡する。
ストットルマイヤー警部とディッシャー警部補が、鑑識やら他の刑事やらを引き連れて、深夜1時過ぎに現場にやってくる。
ところがモンクが殺人事件を目撃した店に行ってみると、殺された被害者もいなければ、二人が乱闘して荒れたはずの部屋には、格闘や殺人事件の痕跡もない。
警部は、モンクが3日間寝ていないので、幻想を見たのだろうという。
警部達は引き上げる。
モンクは探していた女性がタクシードライバーであることが分かったので、タクシーの手配をしているところへ行き、女性の身元を確かめる。
その女性ドライバーは、始発の列車が出るときには、いつも駅にいることを教えてもらう。
始発までは大分時間があるが、モンクは駅に行き、彼女を待つことにする。
もうすぐ探している女性に会えるはずだ。
駅の待合室のベンチに座っているモンク。
深夜にそこにいるのは浮浪者と、始発を待つ乗客。
すると、遠くに若い男が鞄を持ってやってくる。
鞄の中のものをゴミ箱にあけている。
なんと、その男は、先ほどモンクが目撃した、殺された被害者ではないか。
ということはあのとき見たのは、やはり幻想だったのか。
この後、殺人事件らしき事件は、思わぬ展開となり,再度モンクが殺人事件を見た場所にストットルマイヤー警部とディッシャー警部補がやってくる。
時間は午前4時を過ぎている。
よくもまあ、夜中に2回も出動するとは。
随分仕事熱心だ。
そして真犯人が捕まり、事件の真相も明らかになる。
警部が現場まで乗ってきたのはタクシーだ。そのドライバーがあの探していた女性なのだ。
犯人が捕まったところに、遠くから料金をもらっていないと、大きな声で女性ドライバーが叫ぶ。
モンクはそれを見て、あなたは、と近づいていく。
思わず抱きしめてしまう。
まだ、なぜその女性のことがそれほど気になっているのかは分からない。
その女性の腕に、入れ墨がある。
日付が入っているのだ。1997年12月14日と読める。
これは、とモンクが尋ねる。
女性ドライバーが答える。
この日、私は生まれ変わったの。
目の手術をしてね。
角膜をもらったの。
その日は、モンクが妻であるトゥルーディーを自動車爆弾で殺された日だ。
トゥルーディーの角膜が、その女性ドライバーの目のなかに移植されていたのだ。
街の中で一瞬見た女性に惹きつけられたのは、トゥルーディーの角膜がそこにあったからだ。
探偵ドラマではよく使われる手法だが、2つのストーリーが同時に進行する。
ひとつは探偵物であるので、事件の謎解き。そしてそれに関連して、あるいは関連しない場合もあるけど、別のストーリーを用意する。
今回のタイトルは“瞳に魅せられて”だが、別のストーリーがモンクとトゥルーディーだったわけだ。
このときの原題は、“Mr. Monk Is Up All Night” (意訳すれば、モンクは不眠症)だけど、今回は日本語題の勝ちだね。
もっとも、原題は、すべてMr.Monk で始まっているから、原題と日本語題を比べるのは、原題には不利だ。
(つづく)

サンフランシスコのダウンタウン。人通りも多い。
歩いてくる女性、少し太めの体格の良い女性が二人に向かってくる。
すれ違う。
以前会ったこともない女性だ。
ナタリーはそのまま歩いて行く。
モンクは、なぜか分からず、通り過ぎる女性を振り返って見る。
女性はどんどん歩いて遠ざかる。
モンクは理由もなく、女性の後を追う。
簡単には追いつかない。
道路の向こう側に行った女性を追いかけて、車の走っている道路に飛び出して車にひかれそうになりながら、追いかける。
ナタリーも、モンクの後を追いかけてくる。
だが、女性の姿を見失ってしまう。
ナタリーがモンクに誰なのと聞くが、モンクも分からない。
思い出さないのだ。
モンクは家に戻っても女性のことが気になる。
夜も寝られない。
不眠症になってしまう。
そんな日が3日間も続く。
モンクは深夜に街に出て行く。
街では新聞配達の車がすでに走っている。
車から大柄な黒人が新聞の束をいくつも店の前に投げていく。
モンクは、ばらばらに投げられた新聞の束が許せない。
きちんと並んでいないと許せないのだ。
新聞の束に触っていると、それを投げた黒人に車の中から、取るんじゃないぞと怒鳴られる。
こんな時間に街にいるモンクを見て、タクシーが車を探しているのだろうと思って、横に来て車のなかから呼びかける。乗りますかって。
モンクは、乗らないと断る。
タクシーはすぐに走り去る。だが、そのとき、モンクはタクシーのドライバーの顔を瞬間見る。
あっ、あの女性だ。3日間探していた女性だ。
モンクは、すぐに待ってくれというが、すでに遅い。タクシーは走り去っていく。
モンクは、タクシーを追いかけて行くが、結局追いつかなかった。
がっかりして、街を歩いていると、殺人事件を目撃する。
モンクは激しい言い争いの声を窓の外から聞いて、身を隠しながら、部屋の中を見る。
潜入捜査をしている捜査官が撃たれる。
捜査官を射殺した薬の売人、それとその客の3人だ。
犯人と客の二人が車で逃げ去る。
警部に連絡する。
ストットルマイヤー警部とディッシャー警部補が、鑑識やら他の刑事やらを引き連れて、深夜1時過ぎに現場にやってくる。
ところがモンクが殺人事件を目撃した店に行ってみると、殺された被害者もいなければ、二人が乱闘して荒れたはずの部屋には、格闘や殺人事件の痕跡もない。
警部は、モンクが3日間寝ていないので、幻想を見たのだろうという。
警部達は引き上げる。
モンクは探していた女性がタクシードライバーであることが分かったので、タクシーの手配をしているところへ行き、女性の身元を確かめる。
その女性ドライバーは、始発の列車が出るときには、いつも駅にいることを教えてもらう。
始発までは大分時間があるが、モンクは駅に行き、彼女を待つことにする。
もうすぐ探している女性に会えるはずだ。
駅の待合室のベンチに座っているモンク。
深夜にそこにいるのは浮浪者と、始発を待つ乗客。
すると、遠くに若い男が鞄を持ってやってくる。
鞄の中のものをゴミ箱にあけている。
なんと、その男は、先ほどモンクが目撃した、殺された被害者ではないか。
ということはあのとき見たのは、やはり幻想だったのか。
この後、殺人事件らしき事件は、思わぬ展開となり,再度モンクが殺人事件を見た場所にストットルマイヤー警部とディッシャー警部補がやってくる。
時間は午前4時を過ぎている。
よくもまあ、夜中に2回も出動するとは。
随分仕事熱心だ。
そして真犯人が捕まり、事件の真相も明らかになる。
警部が現場まで乗ってきたのはタクシーだ。そのドライバーがあの探していた女性なのだ。
犯人が捕まったところに、遠くから料金をもらっていないと、大きな声で女性ドライバーが叫ぶ。
モンクはそれを見て、あなたは、と近づいていく。
思わず抱きしめてしまう。
まだ、なぜその女性のことがそれほど気になっているのかは分からない。
その女性の腕に、入れ墨がある。
日付が入っているのだ。1997年12月14日と読める。
これは、とモンクが尋ねる。
女性ドライバーが答える。
この日、私は生まれ変わったの。
目の手術をしてね。
角膜をもらったの。
その日は、モンクが妻であるトゥルーディーを自動車爆弾で殺された日だ。
トゥルーディーの角膜が、その女性ドライバーの目のなかに移植されていたのだ。
街の中で一瞬見た女性に惹きつけられたのは、トゥルーディーの角膜がそこにあったからだ。
探偵ドラマではよく使われる手法だが、2つのストーリーが同時に進行する。
ひとつは探偵物であるので、事件の謎解き。そしてそれに関連して、あるいは関連しない場合もあるけど、別のストーリーを用意する。
今回のタイトルは“瞳に魅せられて”だが、別のストーリーがモンクとトゥルーディーだったわけだ。
このときの原題は、“Mr. Monk Is Up All Night” (意訳すれば、モンクは不眠症)だけど、今回は日本語題の勝ちだね。
もっとも、原題は、すべてMr.Monk で始まっているから、原題と日本語題を比べるのは、原題には不利だ。
(つづく)
