叱るということ
- 2016/01/11
- 00:00
叱るのはエネルギーの要る仕事だ。
IT系の会社に勤めていたときだ。
僕の同僚が、パートナーさんに対して、適切な対応ができないことがあった。
しかもその相手のパートナーさんは、思ったことは直接きっちりと言わないと気が済まない性分の方だった。
いつもずばりと言われる方なので、その言い分はもっともだが、そこまで言わなくてもということが、しばしばあった。
そういう方だったので、どう決着がつくのか、心配をしていた。
ちょうど僕がオフィスに居ないときに、そのパートナーさんがオフィスにやってきて、僕の同僚を問い詰めたという。
パートナーさんは、自分で会社をやっているので、強気でもあり、いつもぎりぎりのところでやっているというサラリーマンとは違う感覚から来る、腹の据わったところもある。
同僚のいるフロアーまで上がってきた。
上がってきたと言っても、勝手に入れるところではないので、事前に同僚にアポを取り、受付を通して正式にやってきたのである。
パートナーさんは、同僚を近くの会議室に連れて行った。
本来だと同僚が会議室を予約して、パートナーさんを案内する形なのだが、その日ばかりは、パートナーさんが主導である。
二人だけが会議室に入った。
会議室でなにが話をされたのか、詳細は分からないが、おおよその察しはつく。
今回、パートナーさんにとって、まずい対応をしたのであるから、パートナーさんは、まずはその行動の理由を、同僚に問いただしたに違いない。
それに対して同僚が回答する。
同僚も経験の長い営業であり、それなりの回答をしたはずだ。
彼もびびるような男ではない。
その後は、今後同様のことをしないという約束をして、会議は終了という流れである。
もしも僕がパートナーさんだったら、おそらく10分もあれば会議は終わっていただろう。
ところがその日の会議は、簡単には終わらない。
会議室の近くに席のある秘書の女性は状況を理解していたので、会議の詳細は分からないが、どのくらいの時間、会議室にいたのか、会議が終わった後に、どのような表情で二人が出てきたのかを、注意して見ていた。
秘書の女性の話では、40分経ってから、ようやく二人は部屋から出てきたという。
しかも、出てきたときは、予想とおりパートナーさんは、いつもと変わらない威勢の良さがあるのに対して、同僚は、借りてきた猫のようだったらしい。
しかも、パートナーさんが部屋を出てきて、大きな声で言ったという。
「今日はこれくらいにしておくけど、まだ完全に無罪ではないで。執行猶予つきや。しばらく様子を見るから、これからはちゃんとしてもらうで」
仕事に対する厳しさというのは大切なことではあるが、叱り続けるというのは、そう簡単なことではない。
口に出して言ってもらえるだけ救いだという考え方もできる。
なにも言わずに、これで終わりというやりかたをする人もいる。
ただ今回の場合は、二人とも少なくともビジネスに関しては、同じ方向を向くことができる、利害関係を同じにすることもできる関係にある。
であれば、両方ともいい大人なのだから、要点だけを言えば、いいではないかと,僕は考えてしまう。
僕自身、あまり叱られた記憶というのは残っていない。
仕事の中では、出来の悪いときに小言を言う上司はいたが、ながながと叱り続けられた経験がない。
仕事を始める前でも、叱られるというと親か、学校の先生ということになるが、記憶が飛んでいるのかもしれないが、学校の先生に叱りつけられた記憶がない。
クラス全体で注意を受けたことは、何度もあったように思うが、ひとりだけ職員室に呼ばれて、注意された記憶はない、
親から叱られたことで、唯一覚えていることがある。
(つづく)

IT系の会社に勤めていたときだ。
僕の同僚が、パートナーさんに対して、適切な対応ができないことがあった。
しかもその相手のパートナーさんは、思ったことは直接きっちりと言わないと気が済まない性分の方だった。
いつもずばりと言われる方なので、その言い分はもっともだが、そこまで言わなくてもということが、しばしばあった。
そういう方だったので、どう決着がつくのか、心配をしていた。
ちょうど僕がオフィスに居ないときに、そのパートナーさんがオフィスにやってきて、僕の同僚を問い詰めたという。
パートナーさんは、自分で会社をやっているので、強気でもあり、いつもぎりぎりのところでやっているというサラリーマンとは違う感覚から来る、腹の据わったところもある。
同僚のいるフロアーまで上がってきた。
上がってきたと言っても、勝手に入れるところではないので、事前に同僚にアポを取り、受付を通して正式にやってきたのである。
パートナーさんは、同僚を近くの会議室に連れて行った。
本来だと同僚が会議室を予約して、パートナーさんを案内する形なのだが、その日ばかりは、パートナーさんが主導である。
二人だけが会議室に入った。
会議室でなにが話をされたのか、詳細は分からないが、おおよその察しはつく。
今回、パートナーさんにとって、まずい対応をしたのであるから、パートナーさんは、まずはその行動の理由を、同僚に問いただしたに違いない。
それに対して同僚が回答する。
同僚も経験の長い営業であり、それなりの回答をしたはずだ。
彼もびびるような男ではない。
その後は、今後同様のことをしないという約束をして、会議は終了という流れである。
もしも僕がパートナーさんだったら、おそらく10分もあれば会議は終わっていただろう。
ところがその日の会議は、簡単には終わらない。
会議室の近くに席のある秘書の女性は状況を理解していたので、会議の詳細は分からないが、どのくらいの時間、会議室にいたのか、会議が終わった後に、どのような表情で二人が出てきたのかを、注意して見ていた。
秘書の女性の話では、40分経ってから、ようやく二人は部屋から出てきたという。
しかも、出てきたときは、予想とおりパートナーさんは、いつもと変わらない威勢の良さがあるのに対して、同僚は、借りてきた猫のようだったらしい。
しかも、パートナーさんが部屋を出てきて、大きな声で言ったという。
「今日はこれくらいにしておくけど、まだ完全に無罪ではないで。執行猶予つきや。しばらく様子を見るから、これからはちゃんとしてもらうで」
仕事に対する厳しさというのは大切なことではあるが、叱り続けるというのは、そう簡単なことではない。
口に出して言ってもらえるだけ救いだという考え方もできる。
なにも言わずに、これで終わりというやりかたをする人もいる。
ただ今回の場合は、二人とも少なくともビジネスに関しては、同じ方向を向くことができる、利害関係を同じにすることもできる関係にある。
であれば、両方ともいい大人なのだから、要点だけを言えば、いいではないかと,僕は考えてしまう。
僕自身、あまり叱られた記憶というのは残っていない。
仕事の中では、出来の悪いときに小言を言う上司はいたが、ながながと叱り続けられた経験がない。
仕事を始める前でも、叱られるというと親か、学校の先生ということになるが、記憶が飛んでいるのかもしれないが、学校の先生に叱りつけられた記憶がない。
クラス全体で注意を受けたことは、何度もあったように思うが、ひとりだけ職員室に呼ばれて、注意された記憶はない、
親から叱られたことで、唯一覚えていることがある。
(つづく)
