球状船首(1)
- 2016/02/04
- 00:00
戦艦大和を横から見た形、船首の形を見た事はあるかな。
..........センカン ヤマト? 漫画で見たくらいだよ。
僕は、造船を専攻していただろう。あの大和の船首の形状について講義をうけたことがあるんだ。
..........わたし、船は大好きよ。船に乗ると,うきうきしてくるの。
少し難しい話だけどね。造船学科というのには、構造が専門の先生と流体が専門の先生がいるんだ。
..........ふーん。
構造というのは、壊れない船を造るための学問で、流体は、船が水のなかを走るときにできるだけ抵抗を少なくするための学問なんだ。
.......... 。。。。。
ふたつの専門部隊があるわけだね。ここで面白いのは、構造の先生は、なかなか人間臭くて、親しみがあってね。ところが流体の先生は、まじめくさった、辛気くさい先生が多かったね。
..........専門によって先生のタイプが違うわけなの。
たまたまかもしれないけどね。構造というのは、目に見えて分かりやすいところがあるだろう。流体というのは、難しい式がやたら出てきてね。取っつきにくい感じだったね。
..........でも流体のほうが、水が相手でしょう。なめらかで、きれいな感じがする。
見ている分にはそうだね。船でもきれいな客船を見ているとほれぼれするね。
ほら、以前ここでも書いたけど、クリスタルハーモニーという船は、本当に綺麗な女性の体のような線を出していたね。引き込まれそう。
..........船は女性名詞でしょう。それは美しいものなのよ。
ところが学問になると、きれいな現象を式で表現することになるので、途端に難しくなってくる。
その流体の偉い先生がいてね。授業を受けたこともあったんだけどね。
..........へぇ、きっと偉い先生だから、難しいのでしょうね。
いつも難しい顔をしてね。眼鏡をかけて、額にしわを寄せているという感じなんだ。
..........こわそう。
教えてもらったことは今では、全然覚えていないけどね。ただひとつだけ、未だに忘れられない授業があったんだ。
..........どんな話なの。
当時は、パソコンもないし、テキストもなくて、たまに先生が書いた論文のコピーが配られたりして、授業は、ばんしょがほとんど。
..........ばんしょ?
そう、板書。黒板に先生がどんどんチョークで式や言葉や、たまに図を描いていくわけだ。
それを学生は必死になってノートに書き写すというスタイルだね。
..........書き写すのが大変そう。
でも一度だけ、スライドを投影して動画を見せたことがあってね。ちょうど実験のときに撮影した画像だったね。今なら簡単に動画を撮影して、写すことができるけど、当時は8ミリカメラを使って、撮影してから、現像して、それを映写機を使って写すわけだ。
撮影ひとつとっても大仕事だったはずだよ。
..........きっとカラーじゃなくて、モノクロっていうやつでしょう。
そうそう、もちろんカラーなんてないからね。
テレビもようやくカラー放送が増えていたい時代で、映画でもパートカラーっていうのがあったんだ。
..........パートカラー?なにそれ。
普通の映画じゃないんだけど、男女のからみがある映画ね。
..........それってポルノのこと。
いや,ポルノじゃないよ。
成人映画って言われていたね。本番はなしだ。
ただ普通のシーンはモノクロで、ベッドシーンになるとカラーに突然変わるわけ。
ベッドを撮すときは、なぜか真ん中に花瓶があってね。。。
..........授業の話はどうしたの。
ごめん。話が脱線してしまったね。
その偉い先生が授業で実験の様子を撮った動画を見せてくれたんだね。
それが今でも忘れない学生時代の一コマなんだ。
(つづく)

..........センカン ヤマト? 漫画で見たくらいだよ。
僕は、造船を専攻していただろう。あの大和の船首の形状について講義をうけたことがあるんだ。
..........わたし、船は大好きよ。船に乗ると,うきうきしてくるの。
少し難しい話だけどね。造船学科というのには、構造が専門の先生と流体が専門の先生がいるんだ。
..........ふーん。
構造というのは、壊れない船を造るための学問で、流体は、船が水のなかを走るときにできるだけ抵抗を少なくするための学問なんだ。
.......... 。。。。。
ふたつの専門部隊があるわけだね。ここで面白いのは、構造の先生は、なかなか人間臭くて、親しみがあってね。ところが流体の先生は、まじめくさった、辛気くさい先生が多かったね。
..........専門によって先生のタイプが違うわけなの。
たまたまかもしれないけどね。構造というのは、目に見えて分かりやすいところがあるだろう。流体というのは、難しい式がやたら出てきてね。取っつきにくい感じだったね。
..........でも流体のほうが、水が相手でしょう。なめらかで、きれいな感じがする。
見ている分にはそうだね。船でもきれいな客船を見ているとほれぼれするね。
ほら、以前ここでも書いたけど、クリスタルハーモニーという船は、本当に綺麗な女性の体のような線を出していたね。引き込まれそう。
..........船は女性名詞でしょう。それは美しいものなのよ。
ところが学問になると、きれいな現象を式で表現することになるので、途端に難しくなってくる。
その流体の偉い先生がいてね。授業を受けたこともあったんだけどね。
..........へぇ、きっと偉い先生だから、難しいのでしょうね。
いつも難しい顔をしてね。眼鏡をかけて、額にしわを寄せているという感じなんだ。
..........こわそう。
教えてもらったことは今では、全然覚えていないけどね。ただひとつだけ、未だに忘れられない授業があったんだ。
..........どんな話なの。
当時は、パソコンもないし、テキストもなくて、たまに先生が書いた論文のコピーが配られたりして、授業は、ばんしょがほとんど。
..........ばんしょ?
そう、板書。黒板に先生がどんどんチョークで式や言葉や、たまに図を描いていくわけだ。
それを学生は必死になってノートに書き写すというスタイルだね。
..........書き写すのが大変そう。
でも一度だけ、スライドを投影して動画を見せたことがあってね。ちょうど実験のときに撮影した画像だったね。今なら簡単に動画を撮影して、写すことができるけど、当時は8ミリカメラを使って、撮影してから、現像して、それを映写機を使って写すわけだ。
撮影ひとつとっても大仕事だったはずだよ。
..........きっとカラーじゃなくて、モノクロっていうやつでしょう。
そうそう、もちろんカラーなんてないからね。
テレビもようやくカラー放送が増えていたい時代で、映画でもパートカラーっていうのがあったんだ。
..........パートカラー?なにそれ。
普通の映画じゃないんだけど、男女のからみがある映画ね。
..........それってポルノのこと。
いや,ポルノじゃないよ。
成人映画って言われていたね。本番はなしだ。
ただ普通のシーンはモノクロで、ベッドシーンになるとカラーに突然変わるわけ。
ベッドを撮すときは、なぜか真ん中に花瓶があってね。。。
..........授業の話はどうしたの。
ごめん。話が脱線してしまったね。
その偉い先生が授業で実験の様子を撮った動画を見せてくれたんだね。
それが今でも忘れない学生時代の一コマなんだ。
(つづく)
