ぶろぐのあたま

犬を飼っている人は多い。
犬は毎日散歩をしないといけないとのことだ。
人間の場合は、運動のために散歩をするという習慣を持っている人でも、今日はちょっとしんどいからサボろうということもあるだろう。
そういうしんどいからサボりたいというのは犬にはないのだろう。僕は、犬の習性とか嗜好は、よく知らない門外漢である。
えらそうなことは言えないのだが、人間の習性はよく分かる。

僕と同世代の男性で、毎日の日課として犬を散歩させている人がいる。毎日大変ですねと言うと、どうやらそうでもないらしい。
一人で散歩するのに比べ、犬の散歩では、犬の機嫌をきかないといけないので、面倒なこともあるだろう。自分のペースで早く行くとか、反対にゆっくり歩くというわけにはいかないはずだ。よく犬が人よりも先に行きたがってリードを引っ張っていたり、あるいはその逆に、その場所にもっといたい犬を、人が引っ張っている光景を目にする。

散歩だけなら一人のほうが気楽でしょう、と言うと、いやそうではないという。
一緒に歩く犬は、ペットとして飼っているので、たいていの場合は、かわいい犬である。彼の場合ももちろん、種類はよく分かっていないが、かわいらしい犬である。
かわいい犬を連れていると、犬が好きな若い女性が、犬に声をかけるそうだ。
若い女性と言っても、彼もそれなりの年なので、彼よりも若い女性ということになるが、一人で歩いていれば、決して彼に声をかけることはないような女性が、犬と一緒にいると声をかけてくるのだ。

犬の散歩の動機が不純ではないですか、と言うと、いやそんなことはない。
犬も毎日それで散歩に連れて行ってもらえるし、私もいきいきとしてくる、まさに一石二鳥なのだと反論してくる。
ましてや、それからその女性と親しくなって、お茶でも飲むということにでもなれば、一石三鳥にもなりますよ、と居直ってくる。

彼の動機が不純であっても、それで犬が健康でご機嫌な時間を過ごすことができれば、まぁいいかと引き下がることにした。

飼い主の意図を知らぬは、犬だけか。
いやいや、きっと犬はすべてお見通しだろう。