大きなイベント
- 2016/02/09
- 00:48
IT系会社に勤めていたときのことだ。
毎年、出展をしている大きなイベントがあった。
前年までは形だけのつきあいでの出展だった。
それでも出展するためのスペースを借りる費用、コマ代。さらには造作代と、ナレーターを期間中雇う費用で、ある程度の出費となる。
コマ代は、最低限で2コマは必要となる。当時は一コマで30万円程度は必要だった。
造作代とは、展示のための台とか椅子等の展示場所を作ってもらう費用だ。
イベントは3日間なので、前日に持ち込んで設置し、最終日が終わると翌日には解体してしまう。
わずか数日間しか使われないのだが、あまりみすぼらしいものでも、返って逆効果となるので、ある程度の予算を使う。
ナレーターの女の子は、イベント会社から派遣されてくる。
依頼する側としては、ナレーター用の原稿とモニターに表示するプレゼン資料を用意する。
ナレーターの女性は、IT系の専門家ではないが、特殊用語が原稿にでてきても、前日だけのリハーサルできっちり暗記して、初日から完全にスムーズに話ができるようになる。
いつもそれを見ていると、さすがだと思ったものだ。
IT系の専門家ではないが、やはりIT系のイベントにはよく依頼されている女性が来ていた。
門前の小僧のごとく、長年やっていると、自分の言葉として説明ができるようになるのだろう。
その年、新しい製品が発表され、僕の部門は西日本地区における製品を販売することが大きなミッションとなっていた。
恒例のイベントには出展することは年初から決まっていた。
年初に年間予算を申請するのだが、今年はどうせ出展するのなら、大きくやってみたらどうだろうと考えた。
昨年までのつきあいだけの出展では、出展担当者も力が入らない。
どうしてもおざなりになる。
そのイベントでは、出展会社の中の最大のコマ数は、10コマだった。
10コマ使っている企業が2社あった。
そこに並ぼうとと考えたわけだ。
幸い、新製品が出たところで、社内でも本社の担当部門はそれなりにマーケティングの予算を持っているはずだ。
10コマでの展示となると、コマ代も増え、造作代も同じように増える。
ナレーターの女性の数も、増やさないといけない。
同時に2箇所でナレーションとデモができるようにする。
展示場所も、会場で一番よい場所、入り口からの導線を考えると、一番多くの参加者が立ち寄る場所を選ぶことができる。
問題は予算確保だ。
これだけのイベントをやったとしても、それに応じた売上げをあげることができるのか、それが保証されているわけではない。
この規模の出展をするためには、全体の予算を計算すると、従来の10倍まではいかないが、6倍以上になる。
関西地区では、いままでひとつのイベントでは使ったことがない程の予算だった。
予算を申請するときに通る確率は、5分5分だと思っていた。
ただ企画書には、当然これを実施することで、今年の売上げ目標を達成することが可能になるということを訴えた。
まず、自分が信じること。
そうすれば相手にも伝わるに違いないと考えた。
そして予算申請は、意外にも簡単に通った。
おそらく社内では、本社の担当部門が例年にない程の大きな予算を確保していたのだ。
いわば本社の仕事を、こちらが企画から実施までするということで、承認が通ったのだ。
僕の部門には10数名の担当者がいたが、このイベントの期間中は、ほぼ全員が会場に張りついた。
イベント期間中にブースに立ち寄った入場者にはアンケートを取ったり、プレゼントを用意したりと、見込み客の情報入手に全員で取り組んだ。
結果として、そこからビジネスがどれだけ出てきたかは、数字として捉えることは出来なかったが、明らかな効果があると思ったのは、新製品を発表したことを世の中にデモンストレーションすることができたことはもちろんだが、部門のなかのチームワークが強化されたことだ。
普段はばらばらに活動し、ミーティングで情報交換はするもののと、なかなか一体感を作るのが難しい。
営業の仕事というのは、そのようなところがある。
一匹オオカミ的な活動をする奴もいる。
ところがこういうイベントを通じて、ひとつの仕事を一緒にやるなかで、ひとつのチームであることが実感でき、部門全体の目標を達成しようという強い意欲が出てきたのは事実である。
そして年度末には、きっちりと目標を達成した。
達成記念に自分たちで独自にデザインしたトレーナーを作ったものだ。
予算をつけてくれた本社の製品担当のボスにも、もちろんそのトレーナーをプレゼントした。
これは10年以上前の海外でのイベント会場。


毎年、出展をしている大きなイベントがあった。
前年までは形だけのつきあいでの出展だった。
それでも出展するためのスペースを借りる費用、コマ代。さらには造作代と、ナレーターを期間中雇う費用で、ある程度の出費となる。
コマ代は、最低限で2コマは必要となる。当時は一コマで30万円程度は必要だった。
造作代とは、展示のための台とか椅子等の展示場所を作ってもらう費用だ。
イベントは3日間なので、前日に持ち込んで設置し、最終日が終わると翌日には解体してしまう。
わずか数日間しか使われないのだが、あまりみすぼらしいものでも、返って逆効果となるので、ある程度の予算を使う。
ナレーターの女の子は、イベント会社から派遣されてくる。
依頼する側としては、ナレーター用の原稿とモニターに表示するプレゼン資料を用意する。
ナレーターの女性は、IT系の専門家ではないが、特殊用語が原稿にでてきても、前日だけのリハーサルできっちり暗記して、初日から完全にスムーズに話ができるようになる。
いつもそれを見ていると、さすがだと思ったものだ。
IT系の専門家ではないが、やはりIT系のイベントにはよく依頼されている女性が来ていた。
門前の小僧のごとく、長年やっていると、自分の言葉として説明ができるようになるのだろう。
その年、新しい製品が発表され、僕の部門は西日本地区における製品を販売することが大きなミッションとなっていた。
恒例のイベントには出展することは年初から決まっていた。
年初に年間予算を申請するのだが、今年はどうせ出展するのなら、大きくやってみたらどうだろうと考えた。
昨年までのつきあいだけの出展では、出展担当者も力が入らない。
どうしてもおざなりになる。
そのイベントでは、出展会社の中の最大のコマ数は、10コマだった。
10コマ使っている企業が2社あった。
そこに並ぼうとと考えたわけだ。
幸い、新製品が出たところで、社内でも本社の担当部門はそれなりにマーケティングの予算を持っているはずだ。
10コマでの展示となると、コマ代も増え、造作代も同じように増える。
ナレーターの女性の数も、増やさないといけない。
同時に2箇所でナレーションとデモができるようにする。
展示場所も、会場で一番よい場所、入り口からの導線を考えると、一番多くの参加者が立ち寄る場所を選ぶことができる。
問題は予算確保だ。
これだけのイベントをやったとしても、それに応じた売上げをあげることができるのか、それが保証されているわけではない。
この規模の出展をするためには、全体の予算を計算すると、従来の10倍まではいかないが、6倍以上になる。
関西地区では、いままでひとつのイベントでは使ったことがない程の予算だった。
予算を申請するときに通る確率は、5分5分だと思っていた。
ただ企画書には、当然これを実施することで、今年の売上げ目標を達成することが可能になるということを訴えた。
まず、自分が信じること。
そうすれば相手にも伝わるに違いないと考えた。
そして予算申請は、意外にも簡単に通った。
おそらく社内では、本社の担当部門が例年にない程の大きな予算を確保していたのだ。
いわば本社の仕事を、こちらが企画から実施までするということで、承認が通ったのだ。
僕の部門には10数名の担当者がいたが、このイベントの期間中は、ほぼ全員が会場に張りついた。
イベント期間中にブースに立ち寄った入場者にはアンケートを取ったり、プレゼントを用意したりと、見込み客の情報入手に全員で取り組んだ。
結果として、そこからビジネスがどれだけ出てきたかは、数字として捉えることは出来なかったが、明らかな効果があると思ったのは、新製品を発表したことを世の中にデモンストレーションすることができたことはもちろんだが、部門のなかのチームワークが強化されたことだ。
普段はばらばらに活動し、ミーティングで情報交換はするもののと、なかなか一体感を作るのが難しい。
営業の仕事というのは、そのようなところがある。
一匹オオカミ的な活動をする奴もいる。
ところがこういうイベントを通じて、ひとつの仕事を一緒にやるなかで、ひとつのチームであることが実感でき、部門全体の目標を達成しようという強い意欲が出てきたのは事実である。
そして年度末には、きっちりと目標を達成した。
達成記念に自分たちで独自にデザインしたトレーナーを作ったものだ。
予算をつけてくれた本社の製品担当のボスにも、もちろんそのトレーナーをプレゼントした。
これは10年以上前の海外でのイベント会場。

