イベント会場での出来事
- 2016/02/12
- 00:00
大きなイベントでの出展は、5年連続してやっていた。
3年目だったろうか。
毎年同じようなパターンでは面白くないということで、いままでやったことのないことをやろうということになった。
それは、プレゼンテーションの場所を作り、そこには椅子を置いて、来場者に座って話を聞いてもらうということだ。
ただこれはどこのブースでもやっていることなので、格段珍しいことではない。
椅子には、ディレクターチェアという、よく映画の撮影シーンで、監督が座っているタイプの椅子を20個ほど特別に作った。
座り心地がよかったかどうかは、分からないが、一人ずつゆったり座ることはできたはずだ。
他のブースでは、このような椅子はなかったので、その点はユニークだったと言えるだろう。
しかもイベント終了後もオフィスに持ち帰って、使うこともできた。
それまでは、すべての発注品を造作品と一緒に廃棄していたので、資源の有効活用という点でもよかったのである。
でも、このようなプレゼンテーションスペースの変化は、多少目先を変える程度であり、本質ではない。
考えたのは、来場者がただ来て座って、話を聞いて帰るというだけというパターンを変えたかったのだ。
ブースに来る人は、展示している製品の情報を求めている人もいるが、単にプレゼンテーションをしているナレーターに惹きつけられてくる人もいるのだ。
と言っても、客寄せのために、奇抜な格好をすることはなかったが、ブースによっては、あきらかにそのようなやり方で来場者を集めているところもあった。
当時は、来場者の名刺を集めることがひとつの目標になっていた。
客寄せパンダのような女性を置いて、とにかく名刺を集めろというブースもあった。
来場者がブースに来る。
ディレクターチェアに座る。
小綺麗なナレーターがプレゼンテーションを始める。
ここまではいつも通りだ。
説明が後半にさしかかる。
ここからが新しい趣向だ。
クイズを出すのだ。
もちろん賞品も用意してある。
クイズも製品にちなんだものとする。
来場者の知識欲をくすぐり、頭の回転を要求するようなクイズだ。
当時、アメリカで開発されたコンピュータが、チェスの名人である、ロシア人のカスパロフに勝ったことが話題となっていた。
これはテレビや新聞にも大きく報道され、多くの日本人が知っていた。
スクリーンに映し出されたコンピュータの横に、小さな少年が登場している。
ナレーターの女性が、ブースに来て座って説明を聞いている人に問いかける。
「さて、この少年が、あのチェス名人に勝ったコンピュータにチェスの戦いを挑み、勝ってしまったのです。
さて、どうやってこの少年は、コンピューターに勝ったのでしょうか」
ブースにいる人に、手を挙げる仕草をして、回答を求める。
だが、誰も手を挙げない。
シーンと静まるディレクターチェアに座っている来場者。
その後ろで通路から、立ったまま話を聞いている人もいる。
これが違うのだ。
何が違うかというのは、同じことをアメリカのイベントでやった場合の来場者の反応と日本での反応が違うのだ。
もし会場が韓国であっても、また日本とは反応が違うのだ。
さて、クイズの答えは分かるかな。
そして、日本とアメリカ、韓国との反応の違いはなにか。
(つづく)

3年目だったろうか。
毎年同じようなパターンでは面白くないということで、いままでやったことのないことをやろうということになった。
それは、プレゼンテーションの場所を作り、そこには椅子を置いて、来場者に座って話を聞いてもらうということだ。
ただこれはどこのブースでもやっていることなので、格段珍しいことではない。
椅子には、ディレクターチェアという、よく映画の撮影シーンで、監督が座っているタイプの椅子を20個ほど特別に作った。
座り心地がよかったかどうかは、分からないが、一人ずつゆったり座ることはできたはずだ。
他のブースでは、このような椅子はなかったので、その点はユニークだったと言えるだろう。
しかもイベント終了後もオフィスに持ち帰って、使うこともできた。
それまでは、すべての発注品を造作品と一緒に廃棄していたので、資源の有効活用という点でもよかったのである。
でも、このようなプレゼンテーションスペースの変化は、多少目先を変える程度であり、本質ではない。
考えたのは、来場者がただ来て座って、話を聞いて帰るというだけというパターンを変えたかったのだ。
ブースに来る人は、展示している製品の情報を求めている人もいるが、単にプレゼンテーションをしているナレーターに惹きつけられてくる人もいるのだ。
と言っても、客寄せのために、奇抜な格好をすることはなかったが、ブースによっては、あきらかにそのようなやり方で来場者を集めているところもあった。
当時は、来場者の名刺を集めることがひとつの目標になっていた。
客寄せパンダのような女性を置いて、とにかく名刺を集めろというブースもあった。
来場者がブースに来る。
ディレクターチェアに座る。
小綺麗なナレーターがプレゼンテーションを始める。
ここまではいつも通りだ。
説明が後半にさしかかる。
ここからが新しい趣向だ。
クイズを出すのだ。
もちろん賞品も用意してある。
クイズも製品にちなんだものとする。
来場者の知識欲をくすぐり、頭の回転を要求するようなクイズだ。
当時、アメリカで開発されたコンピュータが、チェスの名人である、ロシア人のカスパロフに勝ったことが話題となっていた。
これはテレビや新聞にも大きく報道され、多くの日本人が知っていた。
スクリーンに映し出されたコンピュータの横に、小さな少年が登場している。
ナレーターの女性が、ブースに来て座って説明を聞いている人に問いかける。
「さて、この少年が、あのチェス名人に勝ったコンピュータにチェスの戦いを挑み、勝ってしまったのです。
さて、どうやってこの少年は、コンピューターに勝ったのでしょうか」
ブースにいる人に、手を挙げる仕草をして、回答を求める。
だが、誰も手を挙げない。
シーンと静まるディレクターチェアに座っている来場者。
その後ろで通路から、立ったまま話を聞いている人もいる。
これが違うのだ。
何が違うかというのは、同じことをアメリカのイベントでやった場合の来場者の反応と日本での反応が違うのだ。
もし会場が韓国であっても、また日本とは反応が違うのだ。
さて、クイズの答えは分かるかな。
そして、日本とアメリカ、韓国との反応の違いはなにか。
(つづく)
