Tさんのこと
- 2016/02/16
- 00:00
僕が初めて仕事をしたときに大変お世話になったTさんとは、僕が転職してから随分長い間会うことがなかった。
年賀状のやりとりはしばらく続けていたのだが、引っ越しがあった年の翌年だったか、不達となった年賀状がどちらかであり、それから連絡も途絶えてしまった。
Tさんがその後、事業部が独立した会社の社長に就いていたのは、ニュースで知っていた。
あるとき仕事で訪問することになった。
25年以上時間が経過している。
同じようなことがやはり数ヶ月前にあった。
そのことは、ブログにも書いたが、一度そういう経験をすると、長い間の無礼についても腹が据わるものである。
とは言うものの、メールで近況とお会いしたい旨を丁寧に伝える。
Tさんからはすぐに返事が返ってきた。
喜んで時間をいただけた。
お言葉に甘えて、会いに行く。
以前と同じビルにおられる。
Tさんのおられるフロアまでエレベータで上がっていく。
エレベータを降りると、窓の外の景色が目の前に広がる。
僕がいた頃と変わらない景色が目の中に入ってくる。
まるでBack to the Future の逆のパターンで、Back to the Past である。
20年以上前の時間と空間のなかに、体全体が吸い込まれるようだ。
エレベータの前の廊下を歩き、ガラス扉の前に行く。
この扉の向こうには、設計室がある。
僕が机に向かっていた頃と同じ空気がある。
ガラス扉には、中にいる人の名前と電話番号が貼ってある。
そこに置いてある内線電話を使って、面会する人を呼び出すことができる。
名前を見ていると、昔知っていた人が随分たくさんおられる。
まだ約束の時間までには、少し時間がある。
扉の外で待っていると、扉が開いて、昔見た顔が出てくる。
確かに時間が経過して顔は変わっている。
老けてはいる。
でも名前をすぐに思い出すことができる。
「おう」と声をかけられる。
昔から口数の少ない方だった。
それだけしか言われない。
「ご無沙汰しています」とお辞儀をする。
僕より年齢はふたつみっつ上のはずだ。
彼が立ち去ると、次は女性が出てきた。
昔と同じく、恰幅のよい女性だ。
元気だ。
「あれ、今日だったっけ」といきなり声をかけられる。
僕がT社長に会いに来ることは、まわりの人たちには伝わっているようだ。
「そうですよ。今日です。ご無沙汰です」と挨拶する。
みんなが気持ちよく迎えてくれる。
途中で退職した人に対して、面白く思わない人もいるのではと思っていたが、考えすぎだったようだ。
杞憂だった。
時間になる前に、僕と同期でこの会社に入った友人に内線電話をかける。
彼との年賀状のやりとりは、退職後も絶えることなく続けている。
すぐに昔の状態に戻る。
そうだ。彼は昔、道が動かないと言って、僕が思わず突っ込んだA君である。
その友人のエスコートで、Tさんの部屋に向かう。
Tさんに会う前には、WEBでの情報は調べておいた。
社長なので、社長のメッセージというのは、必ず出ているものだ。
Tさんのメッセージも写真入りで載っていた。
僕が素晴らしいと思ったのは、5つほど重要なメッセージがあり、その中のトップは、お客様のことを一番大事に考えるということで、これはいずれの企業でも定番であるが、その次に出ていた言葉だ。
それは、社員を大事にするということだ。
5つのなかでは株主のことには触れていない。
欧米の会社はもちろんのこと、日本でもいまは株主を大事にするということをキーメッセージであげている企業は多い。
ところがTさんが大切にしようとしているもののなかで、社員を堂々とトップ5の上位にあげている。
いかにもTさんらしい人間を大事にすることがよく分かる社長のメッセージだった。
社長室の中にA君と一緒に入って行く。
時間は30分くらいだったが、懐かしい言葉や、社長としての企業を語る言葉、いろいろお聞きすることができた。
こういう場にいることを、自分自身で大切にしていこうと強く思った。

年賀状のやりとりはしばらく続けていたのだが、引っ越しがあった年の翌年だったか、不達となった年賀状がどちらかであり、それから連絡も途絶えてしまった。
Tさんがその後、事業部が独立した会社の社長に就いていたのは、ニュースで知っていた。
あるとき仕事で訪問することになった。
25年以上時間が経過している。
同じようなことがやはり数ヶ月前にあった。
そのことは、ブログにも書いたが、一度そういう経験をすると、長い間の無礼についても腹が据わるものである。
とは言うものの、メールで近況とお会いしたい旨を丁寧に伝える。
Tさんからはすぐに返事が返ってきた。
喜んで時間をいただけた。
お言葉に甘えて、会いに行く。
以前と同じビルにおられる。
Tさんのおられるフロアまでエレベータで上がっていく。
エレベータを降りると、窓の外の景色が目の前に広がる。
僕がいた頃と変わらない景色が目の中に入ってくる。
まるでBack to the Future の逆のパターンで、Back to the Past である。
20年以上前の時間と空間のなかに、体全体が吸い込まれるようだ。
エレベータの前の廊下を歩き、ガラス扉の前に行く。
この扉の向こうには、設計室がある。
僕が机に向かっていた頃と同じ空気がある。
ガラス扉には、中にいる人の名前と電話番号が貼ってある。
そこに置いてある内線電話を使って、面会する人を呼び出すことができる。
名前を見ていると、昔知っていた人が随分たくさんおられる。
まだ約束の時間までには、少し時間がある。
扉の外で待っていると、扉が開いて、昔見た顔が出てくる。
確かに時間が経過して顔は変わっている。
老けてはいる。
でも名前をすぐに思い出すことができる。
「おう」と声をかけられる。
昔から口数の少ない方だった。
それだけしか言われない。
「ご無沙汰しています」とお辞儀をする。
僕より年齢はふたつみっつ上のはずだ。
彼が立ち去ると、次は女性が出てきた。
昔と同じく、恰幅のよい女性だ。
元気だ。
「あれ、今日だったっけ」といきなり声をかけられる。
僕がT社長に会いに来ることは、まわりの人たちには伝わっているようだ。
「そうですよ。今日です。ご無沙汰です」と挨拶する。
みんなが気持ちよく迎えてくれる。
途中で退職した人に対して、面白く思わない人もいるのではと思っていたが、考えすぎだったようだ。
杞憂だった。
時間になる前に、僕と同期でこの会社に入った友人に内線電話をかける。
彼との年賀状のやりとりは、退職後も絶えることなく続けている。
すぐに昔の状態に戻る。
そうだ。彼は昔、道が動かないと言って、僕が思わず突っ込んだA君である。
その友人のエスコートで、Tさんの部屋に向かう。
Tさんに会う前には、WEBでの情報は調べておいた。
社長なので、社長のメッセージというのは、必ず出ているものだ。
Tさんのメッセージも写真入りで載っていた。
僕が素晴らしいと思ったのは、5つほど重要なメッセージがあり、その中のトップは、お客様のことを一番大事に考えるということで、これはいずれの企業でも定番であるが、その次に出ていた言葉だ。
それは、社員を大事にするということだ。
5つのなかでは株主のことには触れていない。
欧米の会社はもちろんのこと、日本でもいまは株主を大事にするということをキーメッセージであげている企業は多い。
ところがTさんが大切にしようとしているもののなかで、社員を堂々とトップ5の上位にあげている。
いかにもTさんらしい人間を大事にすることがよく分かる社長のメッセージだった。
社長室の中にA君と一緒に入って行く。
時間は30分くらいだったが、懐かしい言葉や、社長としての企業を語る言葉、いろいろお聞きすることができた。
こういう場にいることを、自分自身で大切にしていこうと強く思った。
