ぶろぐのあたま

甲子園での広島戦。
初回に２点と1点を入れて、阪神は1対２で負けている。
試合はそのまま両軍投手の頑張りで、9回になる。

9回表、広島は、あっさり三者凡退。
その裏、阪神は、広島の新井のエラーもあり、同点に追いつき、なおもチャンスが続く。
１死で1塁と3塁にランナーがいる。
内野ゴロゲッツーでもない限り、サヨナラのチャンスだ。

バッターは西岡。
振り切った打球は外野に上がる。
これは取られても十分犠打になる。
サヨナラ勝ちは決まりだ。
と思っていると、打球は右中間に飛び、やや浅めの外野手がいくら走っても追いつかない。
完全なサヨナラヒット。
阪神が3対2で逆転勝ちだ。

帰りの阪神電車。
車内は勝ちを喜ぶ阪神ファンで溢れている。
そこに赤いユニフォームを着た親子連れが乗ってくる。
広島ファンの親子だ。
空いている席がないので、阪神ファンに囲まれて、立っている。

席に座っている阪神ファンのおっさんが余裕で声をかける。
「残念やったな。サヨナラ負けで」

カープ少年は、しっかりと返答する。
「こんな日もあるわ」
まるで、大人の話す言葉だ。

おそらく広島ファンの親からいつもそう言われているのだろう。
今日はお父さんと思われる大柄な男性が一緒だ。

さらに少年は負けずに続ける。
「今日は負けたけど、明日、明後日と広島が連勝して、巨人が負けて、広島が首位になるんや」
なにを馬鹿なことを言っているのだ、とこちらはそれを聞きながら、阪神の3連勝でたたきのめしたると思っている。
広島が連勝しても首位になるわけないだろう、と。

少年の前に座っている阪神ファンのおっさんが聞いている。
「どこから来たんや」
広島から来たと思ったのだろうか。
すると少年は神戸市XX区XXXと町名までを言う。
番地まで言いそうになったので、お父さんがそこで遮る。
このあたりは少年である。

この後日談。
第2戦、第3戦は、カープ少年の言うとおり、広島が連勝してしまった。
さらに翌週の初めには、巨人に追いつくところまで来たのである。

まだまだシーズンの初めであるが、カープ少年の喜ぶ日が多くなりそうな状況だ。
今年のカープは、マエケンは抜けたが、前半戦は奮闘しそうだ。