女性専用列車
- 2015/02/12
- 00:00
女性専用車両というものがある。
これはすべての列車についてわけでもなく、また限定された時間帯によって、女性専用車両となるものがあったり、鉄道会社によって取り組みが様々である。
男性としては、全く不便に思うときもある。
前の車両に移動したいのに、間に女性専用車両があると、走行中にその中を通ることは、たとえすいていても、できるものではない。そういうときは駅に止まったときに、一旦プラットフォームに出て、一両分は外を歩いて、再び乗車するということになる。
男性としては、女性専用車両に乗らなければ、なにも問題はないのである。
それだけの話しなので、簡単なことだと思うかもしれないが、意外とそれができないことがある。
それはもちろん知らぬ間に乗ってしまうことがあるときだ。
その1:
大阪の東西線でのことだ。東西線の東の端は、京都府の南端、奈良県との県境近くまで伸びている。
その日は、始発駅に夕方たどり着いた。仕事を無事終えて、天気もよく、ゆったりとした気分だった。
しかもその駅は、まさに田舎の駅の午後の遅い時間。まだ日が長いころで、乗客もまばらである。列車に数名程度の乗客しかいない。
改札を入り、階段を下りて、そのまま行き先だけを確認して、プラットフォームに待っている電車に乗る。
がらがらの車両だ。例によってPCを広げて仕事をしようとしたが、なぜか今日はそんな気分ではなく、睡魔が襲ってきたので、PCを鞄にかたづけた。
そのまま眠りに徐々に入っていく。
電車が出発する。
社内アナウンスが流れるが、それをかすかに聞きながら、電車の揺れに任せて、眠りのなかに完全に入ってしまう。
大阪の中心部である北新地駅までは、50分くらいだ。
いままで、同じ路線で寝過ごしたことはないので、何も気にせず、眠ってしまう。
30分以上は寝たのだろう。
出発してから、40分近く経っていた。
目が覚めると、社内はすっかり始発駅とは状況が変わっている。
混んでいるのである。
当然立っている人がかなりいる。
その人たちを見る。
なぜか女性の多い車両だ。
初めはその程度だったが、そのうち周りは全員女性であることに気がつく。
これはまずい。
女性専用車両に乗ってしまったのだ。
焦ってもしようがないので、知らぬ顔をして、次の停車駅で鞄を抱えて、電車を降りる。
まだ目的地前であるが、いたしかたない。
電車が出発するまでに時間があったので、前の車両に乗った。
こういうときは、焦ってダッシュすることはせずに、素知らぬ顔をして、車両を乗り換える。
その2:
今度は、東西線と反対に関西の西側である。
神戸の地下鉄に三宮と西神中央を結ぶ線がある。
三宮と新神戸間を乗ることが多かったのであるが、仕事で終点の西神中央に行くことが増えてきた。
このときも東西線の時と全く同じ状況である。
天気のいい午後。
始発駅からの乗車。
始発駅ではがらがら。
どこに乗っても座れる状況。
仕事の帰りで、仕事は予定とおりやり終えた。
安心しているのである。
こういうときは用心しないといけない。
しかも関西では、女性専用車両は、列車の中央にあることが多い。
階段を下りてきてプラットフォームから車両に乗り込むときに、最も自然に乗ることができる位置にあるのだ。
西神中央から三宮まで30分くらい。
東西線よりも短い時間であるが、東西線と同じように段々乗客が増えてくる。
しかも女性ばかりが、その車両では増えてくるのだ。
初めは居眠りをしていて、途中で目が覚めて、はっとする。
全く同じパターン。
目的地の手前で下車する。
これが女性専用列車乗車経験の2回である。
これで以上終わり、と言いたいのだが、実は3回目がある。
それは、東京での出来事である。
しかも通勤時間帯。
幸い電車の進行方向が人の移動する方向と反対だったので、ぎゅうぎゅうの身動きが取れない程の混みようではなかった。
電車が出発直前に飛び乗ったのである。
先頭車両だった。
荷物は鞄ともうひとつあり、両手がふさがっていた。
扉が閉まる直前に乗ったので、外に向いて立っていた。
両隣は女性である。
なんとなく、嫌な感じがした。
後ろから視線を感じるのである。
混んでいても体と体が触るほどではなかったのが幸いだった。
一瞬、女性専用車両かという意識が走った。
でも先頭にあるわけがないという関西の常識が頭のなかにあった。
嫌な感覚があったのと、降りる駅ではきっと改札は真ん中あたりのほうが便利だろうと思い、次の駅に到着したときに、すぐに外に出た。
まだ女性専用車両に乗ったということに気づいていない。
列車がすぐに発車しそうなので、小走りで真ん中の車両に飛び移る。
後ろの車両に乗り込む前に、僕の乗っていた車両の位置に書いてある文字が目に入る。
“女性専用車両”の文字。
プラットフォームに書いてある。
そうか、東京では先頭車両が女性専用車両ということもあるのだ。
くれぐれも女性専用車両にご用心である。
この話をオフィスに戻ってきてから、”ピーピーダッシュ”の同僚に話したら、笑いながら言った。
「それは、冷や汗ダッシュですね」と鬼の首を取ったように言う。
「それ、おもろないで。言うなら、冷や冷やダッシュやろ」
関西人は疲れる。

これはすべての列車についてわけでもなく、また限定された時間帯によって、女性専用車両となるものがあったり、鉄道会社によって取り組みが様々である。
男性としては、全く不便に思うときもある。
前の車両に移動したいのに、間に女性専用車両があると、走行中にその中を通ることは、たとえすいていても、できるものではない。そういうときは駅に止まったときに、一旦プラットフォームに出て、一両分は外を歩いて、再び乗車するということになる。
男性としては、女性専用車両に乗らなければ、なにも問題はないのである。
それだけの話しなので、簡単なことだと思うかもしれないが、意外とそれができないことがある。
それはもちろん知らぬ間に乗ってしまうことがあるときだ。
その1:
大阪の東西線でのことだ。東西線の東の端は、京都府の南端、奈良県との県境近くまで伸びている。
その日は、始発駅に夕方たどり着いた。仕事を無事終えて、天気もよく、ゆったりとした気分だった。
しかもその駅は、まさに田舎の駅の午後の遅い時間。まだ日が長いころで、乗客もまばらである。列車に数名程度の乗客しかいない。
改札を入り、階段を下りて、そのまま行き先だけを確認して、プラットフォームに待っている電車に乗る。
がらがらの車両だ。例によってPCを広げて仕事をしようとしたが、なぜか今日はそんな気分ではなく、睡魔が襲ってきたので、PCを鞄にかたづけた。
そのまま眠りに徐々に入っていく。
電車が出発する。
社内アナウンスが流れるが、それをかすかに聞きながら、電車の揺れに任せて、眠りのなかに完全に入ってしまう。
大阪の中心部である北新地駅までは、50分くらいだ。
いままで、同じ路線で寝過ごしたことはないので、何も気にせず、眠ってしまう。
30分以上は寝たのだろう。
出発してから、40分近く経っていた。
目が覚めると、社内はすっかり始発駅とは状況が変わっている。
混んでいるのである。
当然立っている人がかなりいる。
その人たちを見る。
なぜか女性の多い車両だ。
初めはその程度だったが、そのうち周りは全員女性であることに気がつく。
これはまずい。
女性専用車両に乗ってしまったのだ。
焦ってもしようがないので、知らぬ顔をして、次の停車駅で鞄を抱えて、電車を降りる。
まだ目的地前であるが、いたしかたない。
電車が出発するまでに時間があったので、前の車両に乗った。
こういうときは、焦ってダッシュすることはせずに、素知らぬ顔をして、車両を乗り換える。
その2:
今度は、東西線と反対に関西の西側である。
神戸の地下鉄に三宮と西神中央を結ぶ線がある。
三宮と新神戸間を乗ることが多かったのであるが、仕事で終点の西神中央に行くことが増えてきた。
このときも東西線の時と全く同じ状況である。
天気のいい午後。
始発駅からの乗車。
始発駅ではがらがら。
どこに乗っても座れる状況。
仕事の帰りで、仕事は予定とおりやり終えた。
安心しているのである。
こういうときは用心しないといけない。
しかも関西では、女性専用車両は、列車の中央にあることが多い。
階段を下りてきてプラットフォームから車両に乗り込むときに、最も自然に乗ることができる位置にあるのだ。
西神中央から三宮まで30分くらい。
東西線よりも短い時間であるが、東西線と同じように段々乗客が増えてくる。
しかも女性ばかりが、その車両では増えてくるのだ。
初めは居眠りをしていて、途中で目が覚めて、はっとする。
全く同じパターン。
目的地の手前で下車する。
これが女性専用列車乗車経験の2回である。
これで以上終わり、と言いたいのだが、実は3回目がある。
それは、東京での出来事である。
しかも通勤時間帯。
幸い電車の進行方向が人の移動する方向と反対だったので、ぎゅうぎゅうの身動きが取れない程の混みようではなかった。
電車が出発直前に飛び乗ったのである。
先頭車両だった。
荷物は鞄ともうひとつあり、両手がふさがっていた。
扉が閉まる直前に乗ったので、外に向いて立っていた。
両隣は女性である。
なんとなく、嫌な感じがした。
後ろから視線を感じるのである。
混んでいても体と体が触るほどではなかったのが幸いだった。
一瞬、女性専用車両かという意識が走った。
でも先頭にあるわけがないという関西の常識が頭のなかにあった。
嫌な感覚があったのと、降りる駅ではきっと改札は真ん中あたりのほうが便利だろうと思い、次の駅に到着したときに、すぐに外に出た。
まだ女性専用車両に乗ったということに気づいていない。
列車がすぐに発車しそうなので、小走りで真ん中の車両に飛び移る。
後ろの車両に乗り込む前に、僕の乗っていた車両の位置に書いてある文字が目に入る。
“女性専用車両”の文字。
プラットフォームに書いてある。
そうか、東京では先頭車両が女性専用車両ということもあるのだ。
くれぐれも女性専用車両にご用心である。
この話をオフィスに戻ってきてから、”ピーピーダッシュ”の同僚に話したら、笑いながら言った。
「それは、冷や汗ダッシュですね」と鬼の首を取ったように言う。
「それ、おもろないで。言うなら、冷や冷やダッシュやろ」
関西人は疲れる。
