たろうのこと
- 2015/01/01
- 00:01
以前のオフィスは、新大阪の近くにあった。
歩くには遠いので、JRに乗るときは、新大阪までタクシーで行くことが多い。
その日は、いつになく、余裕をもってオフィスを出た。
流しのタクシーがなかなか来ない。
仕方なくタクシー乗り場まで歩き、タクシーに乗り込む。
年配の運転手さんである。
髪の毛はすこし薄くなって、ほとんど白髪だ。
運転手さんから話してくる。
こういう会話は、時間も短いので、嫌いではない。
「これから行かれるのですか、それとも終わりですか」
出張にこれから行くのか、あるいはこちらで仕事が終わって、後は帰るだけですか、という質問だ。
新大阪までタクシーに乗ると、新幹線に乗るものと決めてかかるのだろう。
出張でこれから東京に行くのか、反対に東京の人が大阪に来て仕事を済ませて、東京へ戻るということを想像するのか。
それで、出張に行くのか、出張に来て、終わって帰るのか、という質問になる。
この日の私の場合は、神戸まで行くので、出張とは言えないのだが、
「これから神戸までいって、仕事ですわ」と答える。
「じゃ、神戸で仕事が終われば、それで今日は終わりというわけですね」
「いえ、それで終わりそうにないですね、、、、エンドレスで仕事をしている感じです」
なぜか年配の方に、カタカナはあまり使いたくないのだが、適当な言葉がでてこない。
エンドレスと言った。
「そうですか、仕事が終わりだったら、三宮あたりで飲めますのにね」
運転手さんは結構飲むことも多いのだろう。
三宮で飲むという言葉に微妙に反応してしまう。
「飲めるといいのですが」
天気のせいか、運転手さんの話のせいか、気分は悪くない。
「運転手さんは、おいくつなのですか」
と失礼ながら、一呼吸おいて、年を聞いた。
きっと、聞いても許される雰囲気だったのだろう。
「72歳ですわ」
私より10歳近く年上である。
「お元気そうですね。現役で仕事をされているのですか」
それは素晴らしい、と本音で言う。
「ええ、元気ですよ。、、たろうもね」
えっ?聞き間違いかと一瞬思う。
「たろうってだれですか、という言葉が口まで出かかる。
子供、いや子供では流れがおかしい。
孫の話をするのも唐突だ。
いや、唐突という意味では、たろうの話をすること自体が意味不明、いきなりすぎる。
もしかすると、飼い犬の名前なのか、年配の方なので、犬の名前に古風な呼び名をつけたのかもしれない。
「たろう、、、、、、ですよ」と説明を聞いて、納得。
元気なわけがわかる。
「こんなことを言うと、嫁に追い出されますがね」
「はい?」
「自分の年齢を2で割って10たした女性が理想なんですね」
「わたしの場合は、46歳ですわ」
「はぁ、そうですか、、、、」
どこまでも元気な好好爺というのだろうか。
そうこうするうちに、新大阪のタクシー降り場に到着。
仕事モードに切り替えながら、タクシーから降りる。
年齢を2で割って、10足す。
男の身勝手な計算式ではあるが、70歳を超えて現役タクシードライバーの元気に免除して、許してあげよう。
僕の場合は、、、と頭の中で計算を始める。。。。
いやはや、男は勝手なものである。
歩くには遠いので、JRに乗るときは、新大阪までタクシーで行くことが多い。
その日は、いつになく、余裕をもってオフィスを出た。
流しのタクシーがなかなか来ない。
仕方なくタクシー乗り場まで歩き、タクシーに乗り込む。
年配の運転手さんである。
髪の毛はすこし薄くなって、ほとんど白髪だ。
運転手さんから話してくる。
こういう会話は、時間も短いので、嫌いではない。
「これから行かれるのですか、それとも終わりですか」
出張にこれから行くのか、あるいはこちらで仕事が終わって、後は帰るだけですか、という質問だ。
新大阪までタクシーに乗ると、新幹線に乗るものと決めてかかるのだろう。
出張でこれから東京に行くのか、反対に東京の人が大阪に来て仕事を済ませて、東京へ戻るということを想像するのか。
それで、出張に行くのか、出張に来て、終わって帰るのか、という質問になる。
この日の私の場合は、神戸まで行くので、出張とは言えないのだが、
「これから神戸までいって、仕事ですわ」と答える。
「じゃ、神戸で仕事が終われば、それで今日は終わりというわけですね」
「いえ、それで終わりそうにないですね、、、、エンドレスで仕事をしている感じです」
なぜか年配の方に、カタカナはあまり使いたくないのだが、適当な言葉がでてこない。
エンドレスと言った。
「そうですか、仕事が終わりだったら、三宮あたりで飲めますのにね」
運転手さんは結構飲むことも多いのだろう。
三宮で飲むという言葉に微妙に反応してしまう。
「飲めるといいのですが」
天気のせいか、運転手さんの話のせいか、気分は悪くない。
「運転手さんは、おいくつなのですか」
と失礼ながら、一呼吸おいて、年を聞いた。
きっと、聞いても許される雰囲気だったのだろう。
「72歳ですわ」
私より10歳近く年上である。
「お元気そうですね。現役で仕事をされているのですか」
それは素晴らしい、と本音で言う。
「ええ、元気ですよ。、、たろうもね」
えっ?聞き間違いかと一瞬思う。
「たろうってだれですか、という言葉が口まで出かかる。
子供、いや子供では流れがおかしい。
孫の話をするのも唐突だ。
いや、唐突という意味では、たろうの話をすること自体が意味不明、いきなりすぎる。
もしかすると、飼い犬の名前なのか、年配の方なので、犬の名前に古風な呼び名をつけたのかもしれない。
「たろう、、、、、、ですよ」と説明を聞いて、納得。
元気なわけがわかる。
「こんなことを言うと、嫁に追い出されますがね」
「はい?」
「自分の年齢を2で割って10たした女性が理想なんですね」
「わたしの場合は、46歳ですわ」
「はぁ、そうですか、、、、」
どこまでも元気な好好爺というのだろうか。
そうこうするうちに、新大阪のタクシー降り場に到着。
仕事モードに切り替えながら、タクシーから降りる。
年齢を2で割って、10足す。
男の身勝手な計算式ではあるが、70歳を超えて現役タクシードライバーの元気に免除して、許してあげよう。
僕の場合は、、、と頭の中で計算を始める。。。。
いやはや、男は勝手なものである。