馬鹿舌街道
- 2016/05/12
- 00:00
ラーメンの店が並んでいる道筋がある。
車で走っている途中でラーメン店をいくつも目にするのだが、わざわざ車を止めて入ることはなかった。
ラーメン街道と呼ばれているそうだ。
あるとき、その街道沿いのラーメン店に入った。
同じ名前が他の場所にもある、チェーン店である。
店に入る時は、期待を持って入る。
ラーメン街道というくらいだから、きっとおいしいのだろう。
店はそれほど混んでいない。
すぐにカウンターに座ることができた。
ラーメンを注文する。
ほどなく、目の前にラーメンが置かれる。
汁を飲む。
ここでぴんとこないとだめなのだが、、、、うん、こんな味か。
期待はずれなのである。
急いでラーメンをかきこんで、店を後にする。
それからだいぶ経ってから、同じ街道沿いの別の店に行く。
以前のことがあるので、それほど期待してはいない。
この店は、行列ができている。
きっとそれほどの店なのだろうと、いつもは行列に並ぶことはしないのだが、このときは、並んでしまった。
待っているときに壁を見ると、クーポン券があると書いてある。
食べるごとにスタンプを押してもらう。それがいくつかたまると、ラーメンが一杯無料ということになる。
それくらいの人気店なのだ、と期待しないはずが期待してしまう。
順番が来て、席に着く。
定番のラーメンを注文する。
しばらくすると、カウンターにラーメンが出てくる。
初めの一口が鍵だ。
うん、今回もここで止まってしまう。
口に合わないという類なのだろうか。
スープを飲み進めても、麺を口にいれても、印象は変わらない。
この店もだめだった。
以前から一番お気に入りのラーメン店が大阪にあった。
そこはラーメン専門店というよりも、中華料理屋にラーメンもあるという店だった。
キムチが食べ放題である。
このキムチの味も絶品だった。
辛すぎず、適度にぴりっとしている。
韓国のキムチなのだろう。
ラーメンもおいしかった。
初めの一口から、おいしい。
大阪にいるときは、随分通ったものだ。
今でも時間をかけてでも行きたいラーメン店である。
チェーン店があるようだが、大阪の行きつけの店以外は、近所には見つからない。
きっとここの味が記憶に沁み込んでいるのだろう。
他の店のラーメンでは、それを越えることができない。
もうこの街道沿いのラーメン店に入るのは、やめようと思っていたのだが、魔はさすものだ。
またまた、この街道沿いのラーメン店に入ってしまった。
この店は、名前も有名で、オフィスでこの話をしたら、あそこのラーメンはおいしいですね、という答えが、結構食にうるさい若手から返ってきた。
ところが、こんどこそという思いで、運ばれてきたラーメンを口にいれたのだが。
テレビで料理のリポーターをやっている人がいる。
いろいろな料理を食べて感想を言わないといけない。
ただ単に“おいしい”ではレポートにはならない。
語彙の引き出しがあって、そこから味の感覚にあわせて、適切な言葉を探してきて、表現するのである。
一番困るのは、口に合わない、一言で言うと、まずいときである。
まさか“これはおいしくないですね”とは言えない。
そういうときは、“そう来るか”という言い方がひとつの対応方法であると聞いた。
このときのラーメンがまさにそれだった。
おもわず、“こう来るのか”と言ってしまった。
僕にとってのラーメン街道は、いまや馬鹿舌街道と揶揄しているのだが、食感というやつは、個人の感想、印象にすぎないので、おそらく僕が異端児なのだろう。

車で走っている途中でラーメン店をいくつも目にするのだが、わざわざ車を止めて入ることはなかった。
ラーメン街道と呼ばれているそうだ。
あるとき、その街道沿いのラーメン店に入った。
同じ名前が他の場所にもある、チェーン店である。
店に入る時は、期待を持って入る。
ラーメン街道というくらいだから、きっとおいしいのだろう。
店はそれほど混んでいない。
すぐにカウンターに座ることができた。
ラーメンを注文する。
ほどなく、目の前にラーメンが置かれる。
汁を飲む。
ここでぴんとこないとだめなのだが、、、、うん、こんな味か。
期待はずれなのである。
急いでラーメンをかきこんで、店を後にする。
それからだいぶ経ってから、同じ街道沿いの別の店に行く。
以前のことがあるので、それほど期待してはいない。
この店は、行列ができている。
きっとそれほどの店なのだろうと、いつもは行列に並ぶことはしないのだが、このときは、並んでしまった。
待っているときに壁を見ると、クーポン券があると書いてある。
食べるごとにスタンプを押してもらう。それがいくつかたまると、ラーメンが一杯無料ということになる。
それくらいの人気店なのだ、と期待しないはずが期待してしまう。
順番が来て、席に着く。
定番のラーメンを注文する。
しばらくすると、カウンターにラーメンが出てくる。
初めの一口が鍵だ。
うん、今回もここで止まってしまう。
口に合わないという類なのだろうか。
スープを飲み進めても、麺を口にいれても、印象は変わらない。
この店もだめだった。
以前から一番お気に入りのラーメン店が大阪にあった。
そこはラーメン専門店というよりも、中華料理屋にラーメンもあるという店だった。
キムチが食べ放題である。
このキムチの味も絶品だった。
辛すぎず、適度にぴりっとしている。
韓国のキムチなのだろう。
ラーメンもおいしかった。
初めの一口から、おいしい。
大阪にいるときは、随分通ったものだ。
今でも時間をかけてでも行きたいラーメン店である。
チェーン店があるようだが、大阪の行きつけの店以外は、近所には見つからない。
きっとここの味が記憶に沁み込んでいるのだろう。
他の店のラーメンでは、それを越えることができない。
もうこの街道沿いのラーメン店に入るのは、やめようと思っていたのだが、魔はさすものだ。
またまた、この街道沿いのラーメン店に入ってしまった。
この店は、名前も有名で、オフィスでこの話をしたら、あそこのラーメンはおいしいですね、という答えが、結構食にうるさい若手から返ってきた。
ところが、こんどこそという思いで、運ばれてきたラーメンを口にいれたのだが。
テレビで料理のリポーターをやっている人がいる。
いろいろな料理を食べて感想を言わないといけない。
ただ単に“おいしい”ではレポートにはならない。
語彙の引き出しがあって、そこから味の感覚にあわせて、適切な言葉を探してきて、表現するのである。
一番困るのは、口に合わない、一言で言うと、まずいときである。
まさか“これはおいしくないですね”とは言えない。
そういうときは、“そう来るか”という言い方がひとつの対応方法であると聞いた。
このときのラーメンがまさにそれだった。
おもわず、“こう来るのか”と言ってしまった。
僕にとってのラーメン街道は、いまや馬鹿舌街道と揶揄しているのだが、食感というやつは、個人の感想、印象にすぎないので、おそらく僕が異端児なのだろう。
