やさしい専務と厳しい部長
- 2016/08/19
- 00:00
久しぶりに中学、高校同期の連中と食事をした。
N会である。
ブログにもなんどか登場したI君が横に座っている。
ちょうどオリンピックの話題になった。
金メダル第一号の萩野公介の話になった。
I君が間違えて、おぎのと言った。
「ちゃうちゃう、あれははぎのや。おぎのとは違う。草冠に秋や」
「そうか、はぎのか」
「そうや、それで思い出したわ」
僕が以前勤めていた会社は大部屋で、部長の席が目の前にあり、壁も仕切りもなかった。
部長の席の外線電話が鳴ると、部長が自ら受話器を取る。
あるとき、部長席の電話が鳴った。
「はい、おぎのです」と部長がちいさな声で話す。
おそらく相手には聞こえていないだろう。
。。。。。。
「えっ、そんな人はいません」
。。。。。。
「ですから、はぎのという人はいません」ときつい声で部長は言うと、電話を乱暴に切った。
おそらく、相手の人は、部長に初めて電話をかけてきたのだろう。
なにかを見て電話をかけたのだが、電話番号は正しかったのだが、名前を読み間違えたのだ。
萩と荻を間違えてしまったのだ。
部長は、厳しい性格だった。
人の名前を読み間違えるということを許すような人ではなかった。
「そら、えらいところに電話かけてしもてんな」とI君。
I君も自分の会社での出来事を思い出した。
同じような話が昔あったわ。
うちの会社の御用達のような喫茶店が、会社のすぐ近くにあったんや。
コーヒーの注文もみんなそこに電話して、配達してもらっていた。
そこの喫茶店の売上の9割以上がうちの会社や。
。。。。。それは相当な金額やな。
I君の会社は損保でトップ企業である。
その一流会社の東京のオフィスでの話だ。
ところが、うちの会社が引越しをしたんや。
そうなると喫茶店は大変や。
一番の買い手がいなくなったわけやからな。
。。。。。そりゃ、おおごとやな。お家の一大事や。
そこで喫茶店のオーナーも死活問題やから、策を考えるわな。
結局、引越しをすることにしたんや。
。。。。。おう、おう。オーナーも考えるわな。どうしたんや。
それがやな。
その喫茶店の引越し先が、うちの会社が新しく入ったビルというわけや。
同じビルの地下に引っ越してきたんや。
。。。。。さすがや。しぶといおっさんや。
いや、オーナーは、関西人とはちゃうで。
おっさんに、関西人も関東人もないと思うが、I君がくぎを刺す。
ただ、それだけではないで。
その店主がすごいのは、なんとうちの会社と内線でつながるようにしてしまったんや。
当時は、社内の電話は内線やからな。
。。。。それはすごいな。そうなると他の店には注文せんやろ。
そうや、うちの会社のコーヒーは全部、その店や。
会議となると必ずコーヒーや。
売上はあがるわな。
それでや、あるとき、若い営業が課長にコーヒーを注文してくれと言われてな。
若い営業は、即座に、はいと、ええ返事をしてやな、内線をまわしたんやな。
。。。。。まわす、、古いな、当時だったらプッシュホンやろ。
さきのおっさんの件を思い出して、僕も一言いう。
まあ、ええがな。
内線を押したんや。
ところが喫茶店の内線番号がなぜか専務の内線に似ていたんや。
そそっかしい若い営業は見事に、専務の内線に電話をかけて、コーヒーを頼んでしまいよった。
。。。。。。それはえげつないな。専務さんは激怒したんとちゃうか。
いや、それがちがうんや。
専務の機嫌が良かったのか、そういう間違いが多かったのか、多分遊び心をもってはったんやろうな。
「〇〇(専務の名前)だけど、僕は、コーヒーを持って行ってあげたいんだけど、僕にはそれができないんですよ。君のところの課長の△△君に言っておいてよ」と返したんや。
。。。。へぇ、えらい太っ腹というか、おもろい専務さんやな。
そうや。なかなかのやり手や。
ところが、若い営業は、真っ青や。
すぐに課長に報告したんや。
それを若い営業から聞いた課長も、冷や汗、たらりーや。
課長は、すぐに部長と一緒に専務のところにお詫びに行ったそうや。
。。。。へぇー、それはやっぱり、すごい専務さんやな。
。。。。電話を切った部長とはえらい違いやな。
電話のかけ間違いには、いつの時代でも気をつけないとあかんね。

N会である。
ブログにもなんどか登場したI君が横に座っている。
ちょうどオリンピックの話題になった。
金メダル第一号の萩野公介の話になった。
I君が間違えて、おぎのと言った。
「ちゃうちゃう、あれははぎのや。おぎのとは違う。草冠に秋や」
「そうか、はぎのか」
「そうや、それで思い出したわ」
僕が以前勤めていた会社は大部屋で、部長の席が目の前にあり、壁も仕切りもなかった。
部長の席の外線電話が鳴ると、部長が自ら受話器を取る。
あるとき、部長席の電話が鳴った。
「はい、おぎのです」と部長がちいさな声で話す。
おそらく相手には聞こえていないだろう。
。。。。。。
「えっ、そんな人はいません」
。。。。。。
「ですから、はぎのという人はいません」ときつい声で部長は言うと、電話を乱暴に切った。
おそらく、相手の人は、部長に初めて電話をかけてきたのだろう。
なにかを見て電話をかけたのだが、電話番号は正しかったのだが、名前を読み間違えたのだ。
萩と荻を間違えてしまったのだ。
部長は、厳しい性格だった。
人の名前を読み間違えるということを許すような人ではなかった。
「そら、えらいところに電話かけてしもてんな」とI君。
I君も自分の会社での出来事を思い出した。
同じような話が昔あったわ。
うちの会社の御用達のような喫茶店が、会社のすぐ近くにあったんや。
コーヒーの注文もみんなそこに電話して、配達してもらっていた。
そこの喫茶店の売上の9割以上がうちの会社や。
。。。。。それは相当な金額やな。
I君の会社は損保でトップ企業である。
その一流会社の東京のオフィスでの話だ。
ところが、うちの会社が引越しをしたんや。
そうなると喫茶店は大変や。
一番の買い手がいなくなったわけやからな。
。。。。。そりゃ、おおごとやな。お家の一大事や。
そこで喫茶店のオーナーも死活問題やから、策を考えるわな。
結局、引越しをすることにしたんや。
。。。。。おう、おう。オーナーも考えるわな。どうしたんや。
それがやな。
その喫茶店の引越し先が、うちの会社が新しく入ったビルというわけや。
同じビルの地下に引っ越してきたんや。
。。。。。さすがや。しぶといおっさんや。
いや、オーナーは、関西人とはちゃうで。
おっさんに、関西人も関東人もないと思うが、I君がくぎを刺す。
ただ、それだけではないで。
その店主がすごいのは、なんとうちの会社と内線でつながるようにしてしまったんや。
当時は、社内の電話は内線やからな。
。。。。それはすごいな。そうなると他の店には注文せんやろ。
そうや、うちの会社のコーヒーは全部、その店や。
会議となると必ずコーヒーや。
売上はあがるわな。
それでや、あるとき、若い営業が課長にコーヒーを注文してくれと言われてな。
若い営業は、即座に、はいと、ええ返事をしてやな、内線をまわしたんやな。
。。。。。まわす、、古いな、当時だったらプッシュホンやろ。
さきのおっさんの件を思い出して、僕も一言いう。
まあ、ええがな。
内線を押したんや。
ところが喫茶店の内線番号がなぜか専務の内線に似ていたんや。
そそっかしい若い営業は見事に、専務の内線に電話をかけて、コーヒーを頼んでしまいよった。
。。。。。。それはえげつないな。専務さんは激怒したんとちゃうか。
いや、それがちがうんや。
専務の機嫌が良かったのか、そういう間違いが多かったのか、多分遊び心をもってはったんやろうな。
「〇〇(専務の名前)だけど、僕は、コーヒーを持って行ってあげたいんだけど、僕にはそれができないんですよ。君のところの課長の△△君に言っておいてよ」と返したんや。
。。。。へぇ、えらい太っ腹というか、おもろい専務さんやな。
そうや。なかなかのやり手や。
ところが、若い営業は、真っ青や。
すぐに課長に報告したんや。
それを若い営業から聞いた課長も、冷や汗、たらりーや。
課長は、すぐに部長と一緒に専務のところにお詫びに行ったそうや。
。。。。へぇー、それはやっぱり、すごい専務さんやな。
。。。。電話を切った部長とはえらい違いやな。
電話のかけ間違いには、いつの時代でも気をつけないとあかんね。
