著名な人たち(2)
- 2016/11/01
- 00:00
東北の青森に行く。
大阪からだと飛行機である。
日程は早くから決まっていたので、できるだけ安い便を探す。
と言っても、安い便は席数が限定されている。
直接航空会社から買うことができればいいが、旅行代理店がある程度の数を抑えにかかる。
当然航空会社から買うのが一番安い。今回の場合は、8000円以下である。
これはたまたま同じ飛行機に往復とも一緒になったGさんから聞いた値段だ。
僕の場合は、予約がGさんよりも遅くなってしまい、旅行代理店から購入した。
片道が手数料を入れると9200円くらいになっている。
それでも新幹線の値段よりもかなり安い。
安い便というのは出発時間帯も早くなる。
夜、現地入りの便は高くなる。
翌日の講演会に入ればいいのだが、当日移動では、主催者側としての準備が十分に出来ない可能性が高い。
しかも青森での講演会は9年振りのことで、勝手が分からない。どうしても前日入りになってしまう。
14時ごろの出発便を予約している。
大阪空港には、地下鉄で千里中央まで出て、それからモノレールに乗り換える。
昼間のモノレールは十分すいている。立っている人はいない。
空いている席に座る。
今日はまだ天気がよい。
気持ちの良い揺れがある。
隣に座った同行者の女性がいう。
「前に座っている人、国会議員の辻元さんみたいね」
声のトーンは抑えている。
まわりには聞こえない音量だ。
「そっくりさんと違うか」
辻元議員のそっくりさんは、雑誌を広げている。
僕が知らない雑誌だ。といっても女性雑誌ではない。
情報誌のたぐいだ。
「いや、きっと辻元さんよ。白いワイシャツに濃紺のスーツ。あの格好は国会議員よ」
「そうかなぁ」
女性の目からすると、こういう格好は一般の女性はしないという。
僕はどちらでもいいのだという気分だ。
その女性の読んでいる雑誌を見ると、ところどころに付箋がついている。
これは明らかに真剣に情報を調べている読み方である。
心の中で、辻元議員かもしれないと思い始める。
と言っても、いままで新聞やテレビのニュースに出てくる辻元さんの顔をしっかり記憶している程見たわけではない。
僕の脳の記憶を引っ張り出そうとするが、それはやっても無駄な状態だ。
脳の中に記憶がないのだから。
でもしげしげとその女性のヘアスタイルや顔を見てみる。
いつも見られていることには慣れておられるのか、僕の視線に抵抗はないような感じだ。
もちろん、僕もしげしげと見ると言っても、時々見る程度で、見続けるわけではない。
その隣には随分恰幅の良い中年の男性がノートPCを広げて仕事をしている。
大型のキャリングケースを持っている。これから飛行機で出張するのだろう。
そうこうするうちに、モノレールは終点の大阪空港へ到着。
僕は持っている鞄をコロコロに積んでドアの方へ移動する。
後ろで声がする。
僕の同行者が辻元議員らしき人と話をしている。
握手をしてすぐに僕の方に来る。
そのとき辻元議員らしき女性は、僕にもにっくりと笑う。
僕はなぜか会釈を返す。
「ほら、やっぱり辻元さんだったのよ」
「話したんか」
国会議員の辻元さんですかと話しかけたら、さすがにそういう場面には慣れているのだろう、すぐに返事があり、握手をしてきたとのことだ。
すると、横に座っていた相撲取り級のサラリーマンも「頑張ってください」と割り込んできたという。
まあ、それはいいけど、自分の疑問をそうやってすぐに解決するところは、感心する。
女性特有の押しの強さと、柔らかさだ。
僕も国会議員から笑顔をもらったのは、いい気分だ。
選挙権のある人にはそうするのが政治家の条件反射かもしれないが、それでもいいのだ。
昼間の時間帯のなんとなく、うきうきする時間だった。
青森空港にて。

大阪からだと飛行機である。
日程は早くから決まっていたので、できるだけ安い便を探す。
と言っても、安い便は席数が限定されている。
直接航空会社から買うことができればいいが、旅行代理店がある程度の数を抑えにかかる。
当然航空会社から買うのが一番安い。今回の場合は、8000円以下である。
これはたまたま同じ飛行機に往復とも一緒になったGさんから聞いた値段だ。
僕の場合は、予約がGさんよりも遅くなってしまい、旅行代理店から購入した。
片道が手数料を入れると9200円くらいになっている。
それでも新幹線の値段よりもかなり安い。
安い便というのは出発時間帯も早くなる。
夜、現地入りの便は高くなる。
翌日の講演会に入ればいいのだが、当日移動では、主催者側としての準備が十分に出来ない可能性が高い。
しかも青森での講演会は9年振りのことで、勝手が分からない。どうしても前日入りになってしまう。
14時ごろの出発便を予約している。
大阪空港には、地下鉄で千里中央まで出て、それからモノレールに乗り換える。
昼間のモノレールは十分すいている。立っている人はいない。
空いている席に座る。
今日はまだ天気がよい。
気持ちの良い揺れがある。
隣に座った同行者の女性がいう。
「前に座っている人、国会議員の辻元さんみたいね」
声のトーンは抑えている。
まわりには聞こえない音量だ。
「そっくりさんと違うか」
辻元議員のそっくりさんは、雑誌を広げている。
僕が知らない雑誌だ。といっても女性雑誌ではない。
情報誌のたぐいだ。
「いや、きっと辻元さんよ。白いワイシャツに濃紺のスーツ。あの格好は国会議員よ」
「そうかなぁ」
女性の目からすると、こういう格好は一般の女性はしないという。
僕はどちらでもいいのだという気分だ。
その女性の読んでいる雑誌を見ると、ところどころに付箋がついている。
これは明らかに真剣に情報を調べている読み方である。
心の中で、辻元議員かもしれないと思い始める。
と言っても、いままで新聞やテレビのニュースに出てくる辻元さんの顔をしっかり記憶している程見たわけではない。
僕の脳の記憶を引っ張り出そうとするが、それはやっても無駄な状態だ。
脳の中に記憶がないのだから。
でもしげしげとその女性のヘアスタイルや顔を見てみる。
いつも見られていることには慣れておられるのか、僕の視線に抵抗はないような感じだ。
もちろん、僕もしげしげと見ると言っても、時々見る程度で、見続けるわけではない。
その隣には随分恰幅の良い中年の男性がノートPCを広げて仕事をしている。
大型のキャリングケースを持っている。これから飛行機で出張するのだろう。
そうこうするうちに、モノレールは終点の大阪空港へ到着。
僕は持っている鞄をコロコロに積んでドアの方へ移動する。
後ろで声がする。
僕の同行者が辻元議員らしき人と話をしている。
握手をしてすぐに僕の方に来る。
そのとき辻元議員らしき女性は、僕にもにっくりと笑う。
僕はなぜか会釈を返す。
「ほら、やっぱり辻元さんだったのよ」
「話したんか」
国会議員の辻元さんですかと話しかけたら、さすがにそういう場面には慣れているのだろう、すぐに返事があり、握手をしてきたとのことだ。
すると、横に座っていた相撲取り級のサラリーマンも「頑張ってください」と割り込んできたという。
まあ、それはいいけど、自分の疑問をそうやってすぐに解決するところは、感心する。
女性特有の押しの強さと、柔らかさだ。
僕も国会議員から笑顔をもらったのは、いい気分だ。
選挙権のある人にはそうするのが政治家の条件反射かもしれないが、それでもいいのだ。
昼間の時間帯のなんとなく、うきうきする時間だった。
青森空港にて。
