僕の先生(2)
- 2016/12/20
- 00:00
中学、高校では6年間同じ先生が担任だった。
H先生と言う。英語の先生だ。
H先生は、確か東北地方の出身だったが、仕事を始めてから関西に来られたようだ。
大学も関西だったかどうかは、分からない。
教師一筋だったので、関西はかなりの期間、住んでおられたが、関西にはそれほどなじんでいるとは思えなかった。
「関西で、ぜひうちの家にお越しください、と言われても、決しては行ってはいけません。
それは単なる社交辞令で、心の底から来てください、と言っているのではないのですよ」
まだ世の中のこともよく知っていない中学生が、先生からそう言われると、言われたことをそのまま信じてしまう。
きっとこれはH先生の経験から言われたことなのだろう。
嫌な経験をされたのに違いない。
6年間もお世話になったのだが、僕にとっては好きな先生の一人であることは間違いない。
H先生から教えられたことで、いまでも覚えていることがある。
そのひとつはアルファベットのHの発音だ。
「Hをエッチと発音してはいけません」と言いながら、黒板に書かれた文字は漢字である。
英知と書かれた。
「Hはエイチと発音するのが正しいのです」
H先生は、発音には随分と注力して教えられた。
それは、入試には必ず発音に関する問題がでるということとも関係があるのだろう。
単語に関する知識は、正しく知っていれば、確実に点数を稼ぐことができる。
その点では、発音を正しく理解することは、受験勉強でも重要なのだ。
発音を重視すると言っても、当時は英会話の授業があるわけではなく、H先生の発音がネイティブスピーカー並みに素晴らしいということでもない。
H先生の発音は、発音記号でどう書くかを覚えるところから始まる。
読み方の違いを耳ではなく、目から理解するのだ。受験勉強では重要なことである。
長い間、発音記号に関する僕の理解は、そのようなものだったが、最近、ある経験をした。
それは発音を中心に教えておられる女性と話をする機会があったのだ。
彼女は、発音記号で発音の違いを理解するという。
たとえば、Heart (心臓、心)とHurt (傷つける)の違いは、発音記号が違うように実際に発音すると、こうなるというように、目と耳で教えるのである。
英語を目で学んできた中高年の人には、これは理解させやすい方法である。
もちろん、若い世代の人も耳だけではなく、目でも理解するのは、理解を早め、その知識を自分のなかで定着させやすいはずだ。
この会話をきっかけに、思い出したのが、H先生の英語の授業の中の発音のことだった。
H先生は、二十年以上前に亡くなられた。
H先生のご自宅は、僕の家からは、それほど遠くはない。
もちろんH先生の奥さまも今はおられないだろうが、今度、そのあたりに出かけてみよう。

H先生と言う。英語の先生だ。
H先生は、確か東北地方の出身だったが、仕事を始めてから関西に来られたようだ。
大学も関西だったかどうかは、分からない。
教師一筋だったので、関西はかなりの期間、住んでおられたが、関西にはそれほどなじんでいるとは思えなかった。
「関西で、ぜひうちの家にお越しください、と言われても、決しては行ってはいけません。
それは単なる社交辞令で、心の底から来てください、と言っているのではないのですよ」
まだ世の中のこともよく知っていない中学生が、先生からそう言われると、言われたことをそのまま信じてしまう。
きっとこれはH先生の経験から言われたことなのだろう。
嫌な経験をされたのに違いない。
6年間もお世話になったのだが、僕にとっては好きな先生の一人であることは間違いない。
H先生から教えられたことで、いまでも覚えていることがある。
そのひとつはアルファベットのHの発音だ。
「Hをエッチと発音してはいけません」と言いながら、黒板に書かれた文字は漢字である。
英知と書かれた。
「Hはエイチと発音するのが正しいのです」
H先生は、発音には随分と注力して教えられた。
それは、入試には必ず発音に関する問題がでるということとも関係があるのだろう。
単語に関する知識は、正しく知っていれば、確実に点数を稼ぐことができる。
その点では、発音を正しく理解することは、受験勉強でも重要なのだ。
発音を重視すると言っても、当時は英会話の授業があるわけではなく、H先生の発音がネイティブスピーカー並みに素晴らしいということでもない。
H先生の発音は、発音記号でどう書くかを覚えるところから始まる。
読み方の違いを耳ではなく、目から理解するのだ。受験勉強では重要なことである。
長い間、発音記号に関する僕の理解は、そのようなものだったが、最近、ある経験をした。
それは発音を中心に教えておられる女性と話をする機会があったのだ。
彼女は、発音記号で発音の違いを理解するという。
たとえば、Heart (心臓、心)とHurt (傷つける)の違いは、発音記号が違うように実際に発音すると、こうなるというように、目と耳で教えるのである。
英語を目で学んできた中高年の人には、これは理解させやすい方法である。
もちろん、若い世代の人も耳だけではなく、目でも理解するのは、理解を早め、その知識を自分のなかで定着させやすいはずだ。
この会話をきっかけに、思い出したのが、H先生の英語の授業の中の発音のことだった。
H先生は、二十年以上前に亡くなられた。
H先生のご自宅は、僕の家からは、それほど遠くはない。
もちろんH先生の奥さまも今はおられないだろうが、今度、そのあたりに出かけてみよう。
