Gさんが逝く(1)
- 2020/04/07
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Gさんが逝ってしまった。
亡くなられる前日まで、復活するつもりでおられた。
息子さんにパソコンのパスワードを伝えたのは、その前日の日だったと聞いた。
いつもは、メールを送ると、早い時は当日、遅くとも翌日には返信のメールが来ていたのが、メールが来ない。
携帯電話にかけるかどうか、思案する日が続いたが、思い切ってかけてみた。
しばらく呼び出し音が鳴る。
電話に出られないのだろうか、と思いながら、電話を切ろうとしたときだった。
もしもし、、と振り絞るような声がした。
思わず、大きな声で話しかけた。
いつもは、Gさんの電話の声は大きくて、こちらの電話器を耳から話しても十分聞こえるくらいだった。
今日は、そうではない。
家族がみんな集まっていて、、、と話される。
Gさんの周りの景色が目に浮かぶ。
早く休んでもらった方がいい。
分かりました、お休みになってください、と伝えた。
その後も、絞り出すように言われる。
よろしくお願い、、、、、と最後は小さな声で、後を託すような声が耳に入る。
大丈夫ですよ、気を強くもって、というのが精いっぱいだった。
それが亡くなられる前日のことである。
お通夜のときに、喪主のご長男にお会いした。
最後に電話したのが、僕だったことを教えられた。
その時は、すでに家族に対しても、ほとんど言葉を発することもなかったと。
それが僕の電話には、声を出して話していた、と言われた。
Gさんの思いが、僕の胸の中に伝わってくる。
Gさんとは、20年近いお付き合いだった。
僕は、人生で多くの方に助けていただいた。
Gさんはその中でも決して忘れられない人である。
Gさんの思い出を、すこしずつ書いてみよう。
この写真は、Gさんが撮影した写真の中でも、僕が最も好きな写真の一つだ。
見ていると、砂浜に打ち寄せる波の音が聞こえてくる。
