吉岡 秀隆さんのこと(1)
- 2020/10/25
- 00:00
NHKの朝ドラを見ている。
NHKオンデマンドをPCで見る。
何日かをまとめて見ることが多い。
今は、六甲おろしを作曲した古関裕而さんを描く「エール」だ。
新型コロナウイルスの影響で、一時中断していたが、ようやく再開し、今は終戦直後の日本を描く。
主人公の古山祐一は、長崎に行く。
「長崎の鐘」を作曲するために、「長崎の鐘」の著者である永田医師に会いに行く。
原爆が投下された街に行くのである。
古山祐一が、白血病で、ベッドに横たわる永田医師の家に行く。
「この度は、訪問を許していただき、ありがとうございます」
お辞儀をする祐一。
ベッドのある部屋は窓が開けられていて、祐一は部屋の外に立ったまま、話をする。
「白血病で寝たきりになってしもうて、こんな姿で、失礼。
どうぞ」
永田医師の声は、聞いただけで、かなり重い病気であることがわかる。
「失礼します」と祐一は、靴を脱いで、部屋に上がる。
「それで私に聞きたか、こととは」
「先生の体験です。どのようなお気持ちで治療にあたられたのか」
永田医師は、祐一の質問には答えないで、
「歌詞はみられた、とかですか」と聞く。
「はい」
「素晴らしか、歌詞だ。
そのうえで、私の気持ちなどは、いりますか。
それに、私の気持ちは、本につづりました。」
しばらくの沈黙。
「題材が大きすぎて、どこから着想していいのか。
なにか、きっかけが欲しいのです」
「あなたは、『露営の歌』や『暁に祈る』をつくったとでしょ。
私も戦争に二度行きました。
よおうく、歌いましたよ」
「すみません」
「なぜ、謝るとですか」
「僕の歌がきっかけで、たくさんの若者が亡くなりました。
彼らのためにも、この歌を作りたいのです」
「贖罪ですか」
「はい」
「うぅん、私は、『長崎の鐘』をあなたご自身のために、作って欲しくは、なか」
衝撃を受ける祐一。
場面は家の外を歩く祐一に移るが、永田医師の声は流れる。
「原爆は、兵隊だけでなく、普通に暮らす何万もの命を、たったの一発で奪いました。
焦土と化した長崎、広島を見て、ある若者が、神は本当にいるとですかと、私に問うたとです。」
再びベッドに臥せる永田医師が映る。
「私はこう答えました。
落ちろ、落ちろ、どん底まで落ちろ。
その意味、あなたに、分かりますか」
「いえ、分かりません。
教えてください」
永田医師は、ベッドの上で、微笑んだような表情を見せる。
「自分で見つけることが、きっかけになるはずです」
言葉を返せない祐一。
絞り出すように、はぁ、はぁというのが精いっぱいだ。
わずか5分間の場面。
ベッドの上の永田医師の表情は暗く、俳優の名前を確認していなかった僕には、初め誰だか分らなかった。
短いシーンでの登場。
それにしては、芸達者な俳優さんを探してくるものだ。
さすがNHKと思っていた。
セリフを2つ、3つ聞いただけで、これは違うと思った。
吉岡秀隆さんだ。

ゆりかもめねこさんによる写真ACからの写真
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何日かをまとめて見ることが多い。
今は、六甲おろしを作曲した古関裕而さんを描く「エール」だ。
新型コロナウイルスの影響で、一時中断していたが、ようやく再開し、今は終戦直後の日本を描く。
主人公の古山祐一は、長崎に行く。
「長崎の鐘」を作曲するために、「長崎の鐘」の著者である永田医師に会いに行く。
原爆が投下された街に行くのである。
古山祐一が、白血病で、ベッドに横たわる永田医師の家に行く。
「この度は、訪問を許していただき、ありがとうございます」
お辞儀をする祐一。
ベッドのある部屋は窓が開けられていて、祐一は部屋の外に立ったまま、話をする。
「白血病で寝たきりになってしもうて、こんな姿で、失礼。
どうぞ」
永田医師の声は、聞いただけで、かなり重い病気であることがわかる。
「失礼します」と祐一は、靴を脱いで、部屋に上がる。
「それで私に聞きたか、こととは」
「先生の体験です。どのようなお気持ちで治療にあたられたのか」
永田医師は、祐一の質問には答えないで、
「歌詞はみられた、とかですか」と聞く。
「はい」
「素晴らしか、歌詞だ。
そのうえで、私の気持ちなどは、いりますか。
それに、私の気持ちは、本につづりました。」
しばらくの沈黙。
「題材が大きすぎて、どこから着想していいのか。
なにか、きっかけが欲しいのです」
「あなたは、『露営の歌』や『暁に祈る』をつくったとでしょ。
私も戦争に二度行きました。
よおうく、歌いましたよ」
「すみません」
「なぜ、謝るとですか」
「僕の歌がきっかけで、たくさんの若者が亡くなりました。
彼らのためにも、この歌を作りたいのです」
「贖罪ですか」
「はい」
「うぅん、私は、『長崎の鐘』をあなたご自身のために、作って欲しくは、なか」
衝撃を受ける祐一。
場面は家の外を歩く祐一に移るが、永田医師の声は流れる。
「原爆は、兵隊だけでなく、普通に暮らす何万もの命を、たったの一発で奪いました。
焦土と化した長崎、広島を見て、ある若者が、神は本当にいるとですかと、私に問うたとです。」
再びベッドに臥せる永田医師が映る。
「私はこう答えました。
落ちろ、落ちろ、どん底まで落ちろ。
その意味、あなたに、分かりますか」
「いえ、分かりません。
教えてください」
永田医師は、ベッドの上で、微笑んだような表情を見せる。
「自分で見つけることが、きっかけになるはずです」
言葉を返せない祐一。
絞り出すように、はぁ、はぁというのが精いっぱいだ。
わずか5分間の場面。
ベッドの上の永田医師の表情は暗く、俳優の名前を確認していなかった僕には、初め誰だか分らなかった。
短いシーンでの登場。
それにしては、芸達者な俳優さんを探してくるものだ。
さすがNHKと思っていた。
セリフを2つ、3つ聞いただけで、これは違うと思った。
吉岡秀隆さんだ。

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