吉岡 秀隆さんのこと(3)
- 2020/10/27
- 00:00
「寅さん」は、僕の大好きな映画の一つだ。
全48作のDVDも持っている。
寅さんの映画が始まった頃の記憶がある。
高校時代の友人だったI君の家を訪ねたときのことだ。
I君は、例のN会のメンバーの一人だ。
当時はI君のお母さんもお元気で、久しぶりに訪ねてきた僕に、元気だった、どうしていたの、と聞かれた。
その会話のなかで、僕が、寅さんの映画を見ました、と言った記憶がある。
どうして、そのシーンだけが、切り取られたように、脳の中に残っているのか、わからない。
きっとI君の家を訪ねた時の僕の気分がとてもよくて、日当たりの良い2階の部屋が気持ちよかったのだろう。
「寅さん」ファンと言いながらも、それほど僕は真面目な、熱烈な寅さんファンだったわけではない。映画が封切られた後にすぐに見に行くというよりも、深夜の映画館で何本かをまとめて見たり、気が向いたときに、たまに封切館で見たりということをしていた。
ビデオが出てからは、レンタルビデオを借りて、見ていない巻を、適当にバラバラと見ていた。
真面目なファンになったのは、寅さんが主人公ではあるが、むしろ満男が前面に出てきたころからだ。
その初めの映画が、第42作「男はつらいよ ぼくの伯父さん」だ。
寅さんの片思い恋愛よりも、満男と後藤久美子さん演じる及川泉との恋愛のほうが、すがすがしくて惹かれるところがあったのかもしれない。
それと、劇中で流れる曲、徳永 英明さんの曲。
それが若い二人の恋の応援歌のように、僕には新鮮に聞こえてきた。
それまで、徳永英明さんのことは、名前は知っていたが、曲を聴いたのは、寅さんの映画の中が初めてである。
変わっている。
調べると全部で6曲あるという。
「MYSELF~風になりたい~」
「JUSTICE」
「どうしようもないくらい」
「夢を信じて」
「最後の言い訳」
「君と僕の声で」
毎回、その場面に合った曲が流れていたのだけど、全部は覚えていない。
今覚えているのは、九州にいる泉ちゃんに会うためにバイクを走らせているところで流れていた「MYSELF~風になりたい~」くらいかな。
新幹線に乗った泉ちゃんを見送った東京駅。
あるときは、閉まりかけたドアの向こうで、泉ちゃんの口だけが動いて、何を言っているのか分からないこともあった。
また、あるときは、満男が後先を考えずに、新幹線に飛び乗って、びっくりした泉ちゃんがいたこともあった。
その時に流れていた曲はなにだったか。
今は覚えていない。
今度、見直してみよう。
でも一番好きなシーンは、映画の最後だ。
クロージングにあたるところだ。
映画の公開時期は、シリーズ後半では年に1回だけ。
年末年始のときなので、寅さんが正月の初詣で賑わう神社の前でテキヤの店を出している。得意の口上でお客を笑わせながら、モノを売るわけだ。
そして、最後は、青空に舞っている凧。
というのが定番だ。
そしてエンディングの「終」のマーク。
満男が登場するのは、正月休みのときだ。
男友達と約束をしていたのに、急に泉ちゃんが家に訪ねてきたことを知って、男友達には、今日はやめだ、お前たちだけで行ってこい、と追い返してしまう。
彼女優先、男友達には、その日は急に冷たくなる。
一緒に遊ぶつもりでやってきた、男友達は、たいてい二人だ。
二人は、満男に罵声を浴びせながら、帰っていく。
泉ちゃんとの時間のほうが、圧倒的に優先度は高いのである。
そして、家へ自転車を全速力で走らせながら満男は言うのだ。
僕はやっと伯父さんの気持ちがわかったと。

(窓から見える、快晴の空)
(つづくかな)
全48作のDVDも持っている。
寅さんの映画が始まった頃の記憶がある。
高校時代の友人だったI君の家を訪ねたときのことだ。
I君は、例のN会のメンバーの一人だ。
当時はI君のお母さんもお元気で、久しぶりに訪ねてきた僕に、元気だった、どうしていたの、と聞かれた。
その会話のなかで、僕が、寅さんの映画を見ました、と言った記憶がある。
どうして、そのシーンだけが、切り取られたように、脳の中に残っているのか、わからない。
きっとI君の家を訪ねた時の僕の気分がとてもよくて、日当たりの良い2階の部屋が気持ちよかったのだろう。
「寅さん」ファンと言いながらも、それほど僕は真面目な、熱烈な寅さんファンだったわけではない。映画が封切られた後にすぐに見に行くというよりも、深夜の映画館で何本かをまとめて見たり、気が向いたときに、たまに封切館で見たりということをしていた。
ビデオが出てからは、レンタルビデオを借りて、見ていない巻を、適当にバラバラと見ていた。
真面目なファンになったのは、寅さんが主人公ではあるが、むしろ満男が前面に出てきたころからだ。
その初めの映画が、第42作「男はつらいよ ぼくの伯父さん」だ。
寅さんの片思い恋愛よりも、満男と後藤久美子さん演じる及川泉との恋愛のほうが、すがすがしくて惹かれるところがあったのかもしれない。
それと、劇中で流れる曲、徳永 英明さんの曲。
それが若い二人の恋の応援歌のように、僕には新鮮に聞こえてきた。
それまで、徳永英明さんのことは、名前は知っていたが、曲を聴いたのは、寅さんの映画の中が初めてである。
変わっている。
調べると全部で6曲あるという。
「MYSELF~風になりたい~」
「JUSTICE」
「どうしようもないくらい」
「夢を信じて」
「最後の言い訳」
「君と僕の声で」
毎回、その場面に合った曲が流れていたのだけど、全部は覚えていない。
今覚えているのは、九州にいる泉ちゃんに会うためにバイクを走らせているところで流れていた「MYSELF~風になりたい~」くらいかな。
新幹線に乗った泉ちゃんを見送った東京駅。
あるときは、閉まりかけたドアの向こうで、泉ちゃんの口だけが動いて、何を言っているのか分からないこともあった。
また、あるときは、満男が後先を考えずに、新幹線に飛び乗って、びっくりした泉ちゃんがいたこともあった。
その時に流れていた曲はなにだったか。
今は覚えていない。
今度、見直してみよう。
でも一番好きなシーンは、映画の最後だ。
クロージングにあたるところだ。
映画の公開時期は、シリーズ後半では年に1回だけ。
年末年始のときなので、寅さんが正月の初詣で賑わう神社の前でテキヤの店を出している。得意の口上でお客を笑わせながら、モノを売るわけだ。
そして、最後は、青空に舞っている凧。
というのが定番だ。
そしてエンディングの「終」のマーク。
満男が登場するのは、正月休みのときだ。
男友達と約束をしていたのに、急に泉ちゃんが家に訪ねてきたことを知って、男友達には、今日はやめだ、お前たちだけで行ってこい、と追い返してしまう。
彼女優先、男友達には、その日は急に冷たくなる。
一緒に遊ぶつもりでやってきた、男友達は、たいてい二人だ。
二人は、満男に罵声を浴びせながら、帰っていく。
泉ちゃんとの時間のほうが、圧倒的に優先度は高いのである。
そして、家へ自転車を全速力で走らせながら満男は言うのだ。
僕はやっと伯父さんの気持ちがわかったと。

(窓から見える、快晴の空)
(つづくかな)